なぜバンジョーとカズーイは日本よりも海外で人気なのか

記事更新日: 2021/10/11

ライター: せきぞー

皆さんはバンジョーとカズーイというキャラクターをご存知でしょうか?

任天堂のゲームに慣れ親しんできた人でも、世代によってはピンときていないという人もいるかと思います。

バンジョーとカズーイは、かつてスーパーファミコン中期からNINTENDO64までの任天堂のゲームを語る上で欠かすことのできない「レア社」から生み出されたゲームキャラクターです。

 

2019年の秋にはスマッシュブラザーズSPに参戦の発表があり、この時の海外での盛り上がりぶりはすさまじいものだったことはまだ記憶に新しいかと思います(後述します)。

バンジョーとカズーイの代表作はNINTENDO64にて1998年に発売された、本キャラクターが主人公として描かれた「バンジョーとカズーイの大冒険」です。

1998年といったら今から20年以上前の話ですから、今の世代のキッズが聞いてもピンとこなくてもおかしなことではありません。

 

その「バンジョーとカズーイの大冒険」ですが、

先日(2021年9月24日)公開された任天堂の最新情報を配信する「ニンテンドーダイレクト」にて、Nintendo Switch Onlineの追加プランで再びプレイできるようになるとの発表がありました。

 

この発表を受けて、再びバンジョーとカズーイへの関心が高まることが予想されますが、、

正直、今まであんまり聞いたことがないキャラクターだったんだけどなんでこんなに注目されてるの?

と感じている人も多いのではないかと思います。

 

これは、推測するに「バンジョーとカズーイは日本よりも海外での熱烈な支持者が多いから」という理由が大きいな要因と思われます。

なので今回は「なぜバンジョーとカズーイは海外で人気なのか?」について考察をしていこうと思います。

海外でのえげつない人気の高さ

まずはバンジョーとカズーイがいかに海外で絶大な支持を得ているかが垣間見えるシーンをご覧ください。

こちらはニンテンドーダイレクトより、バンジョーとカズーイのスマブラSP参戦決定を発表した映像が流れた際の海外ファンのリアクション動画になります。

 

いや、みんなバンジョー好きすぎでしょ笑

 

個人的に一番好きなのが14:05~の息子のあまりの狂喜乱舞狂に誰か死んだと勘違いして入ってくるオカン。

ほとんどの人がバンカズではお決まりのアイテムであるジギー(ジクソーピース)が転がった瞬間に全てを悟るあたりは流石としかいいようがないですね。

おそらく日本で同じ映像が流されても流石にここまでの騒ぎにはなっていなかったかと思います。

 

任天堂を支えた立役者「レア社」

バンジョーとカズーイを語る上で欠かせないのが本キャラクターの生みの親である「レア社」についてです。

 

レア社とは、任天堂から発売された家庭用ゲーム機であるファミコン、スーパーファミコン、NINTENDO64などで遊ぶことのできるゲームソフトを手掛けていたゲームソフトウェア会社です。

なかでも、グラフィック技術の高さが評価され任天堂のセカンドパーティーとして発売したスーパーファミコンソフト「スーパードンキーコング」はスーパーマリオシリーズに次ぐ当時の大ヒット作として有名です。

動画で見てもわかるとおり、「スーパーマリオワールド」など2DのCGがメインだった時代に3Dを用いたCGを起用するなど、同じゲーム機の製品とは思えないような画期的な技術が当時大きな反響を呼びました。

またスーパーファミコンの後継機にあたるNINTENDO64の開発にあたっても、指導・提案役としてレア社が大きく関わっていたと言われています。

 

「バンジョーとカズーイ」シリーズ

初登場作品「ディディーコングレーシング」

バンジョーとカズーイが初めて世間に知れることになる作品は、「バンジョーとカズーイの大冒険」と思いきや、

同じくNITENDO64で発売された「ディディーコングレーシング」となっています。

ディディーコングレーシングはマリオカートに次ぐ人気レーシングゲームで、バンジョーは単体でドライバーとして参加しています(画面右上)。

実は、本来であればバンジョーとカズーイの大冒険を先に発売し、ディディーコングレーシングはレア社を代表するゲームのスピンオフ作品として発売される予定でした。

しかし、バンジョーとカズーイの大冒険の開発が遅れてしまっていたことで発売の順番が前後してしまったという裏話があるそうです。

 

バンジョーとカズーイの大冒険

バンジョーとカズーイが主役となって登場するアクション3DゲームとしてNINTENDO64で発売された、バンカズの代表作品になります。

いまさらですが、手前の熊がバンジョー、かばんに入っている赤い鳥がカズーイです。

本作はNINTENDO64を代表するソフト「スーパーマリオ64」を参考に作られた3Dの世界を動き回るいわゆる「箱庭ゲーム」と呼ばれるジャンルで、「マリオ64よりも滑らかで多彩なアクションが魅力のゲーム」と評されています。

ゲーム内容は、魔女に拐われた妹を救出するために敵を倒したり、謎解きをしながらアイテムを集めて、ステージを進めていくといった形式になっています。

基本はアクションゲームなのですが、謎解き要素が強く、攻略難度が結構高いゲームになっているので大人でも全然楽しめるゲームだと思います。

ちなみに自分が子供だった当時は全クリできず途中で挫折してしまいました。

 

バンジョーとカズーイの大冒険2

前作の続編となる作品で、バンジョーとカズーイを別々に使用することができたり、新たな技が使えるようになるなど、かなり全体的にバージョンアップしたことが伺える人気作品です。

 

NINTENDO64以降の作品

NINTENDO64以降に発売された作品としては、

  • バンジョーとカズーイの大冒険〜グランティの復讐(GBA)
  • バンジョーパイロット(GBA)
  • バンジョーとカズーイの大冒険 ガレージ大作戦(Xbox 360)

があります。

しかし、1と2に関しては日本では*発売がされておらず、3についても任天堂のゲーム機には未対応であったため知名度はかなり低かったと思われます。

※「バンジョーとカズーイの大冒険〜グランティの復讐」はガラケーのゲームとして一時期販売されていた。

 

幻の没ゲー「DREAM」

1994年に発売されたスーパーファミコンソフト「スーパードンキーコング」の大ヒットを機に、レア社では同様の高度なグラフィック技術を用いた横スクロール型のRPGゲーム「DREAM」の開発を企画していました。

しかし、DREAMの開発途中、主流の家庭用ゲーム機がスーパーファミコンからNINTENDO64へ移行し、スーパーマリオ64が「立体空間を最大限活用した箱庭ゲーム」であったことを受けて、レア社はDREAMの開発方針を2.5Dの横スクロール型のRPGから、3Dの箱庭アクションゲームへと変更することになりました。

そしてこの開発方針の変更に伴い、当初予定していた「海賊の少年」という設定の主人公がイメージに合わないということになり、代役として脇役の設定だった熊のバンジョーが主人公として置き換わることになります

その後開発が長引いたことで方針がまとまり切らず、結局DREAMがゲームソフトとして世に出ることはありませんでした。

その代わりとして、新たにストーリーやら、ゲーム設定がまるごと作り直された「バンジョーとカズーイの大冒険」が1998年に発売されることになります。

DREAMの企画が動き出したのが1995年の話ということなので、「バンジョー」というキャラクターの構想自体はバンカズが発売される3年も前から存在していたということになりますね。

 

任天堂とレア社の関係性

前述の海外ファンのリアクション動画の中で「He's backkkk!!!」とか「He finally came home!!!(ようやくバンジョーが帰ってきた!)」と叫んでいる人達がいたことにお気づきでしょうか?

この発言は一体どういった意味だったのでしょう?

 

実は、2002年にレア社が任天堂からマイクロフト社の傘下に移った際、バンジョーとカズーイの著作権もレア社と一緒にマイクロソフト側に移りました。

その関係上、以降の任天堂の製品からバンジョーとカズーイが登場することは2019年のスマブラ参戦までの16年の間、一度もありませんでした。

このことが、バンジョーを知っている層と知らない層とではっきり分かれる原因ともいえます。

この事実を知っていた層からすれば2019年のスマブラでの劇的な復活はまさに歴史的な大イベントだということもうなずけるのではないでしょうか。

 

しかし、ここでひとつ疑問になってくるのが、

日本でこの事実を知っていた人がどれくらいいただろうか?」ということです。

さらに言えば、「この事実を知っていたところでそんなに感動するような決定だったのだろうか?」ということも気になってきます。

 

たしかに日本でも、バンジョーとカズーイにはある程度の知名度と人気があります。

しかし、それが「マリオやドンキーコングといったおなじみのキャラクターと肩を並べる程の人気キャラクターであったか」と言われれば些か疑問に感じる人は多いはず。

 

海外で人気の理由

売上本数

まず、バンジョーとカズーイの人気の高さは海外での売上本数から読み取ることができます。

「バンジョーとカズーイの大冒険」の日本国内での売上本数は約40.5万本で、国内での歴代売上ランキングでは22位という位置に留まっています。

対する海外での売上総数は日本の約8倍である324.5万本にのぼり、ランキングも第10位と大きく日本での順位を上回っています。

多くのシリーズ化がされ国内外問わず圧倒的な人気を誇る「スマッシュブラザーズ」ですが、海外での売上数だけを見るとバンカズとほとんど変わらないことからも、どれだけ人気だったことかがわかる気がしてこないでしょうか。

 

 

レア社の人気

そもそも、レア社から発売されるゲームタイトルは割合的に見ると日本よりも海外での売上が高くなるケースがほとんどです。

スーパーファミコンの「スーパードンキーコング」も日本での売上ランキングが4位であるのに対して世界ランキングでは2位のマリオカートをひっくり返して3位に君臨しています。

さらにいえば、

イギリスの大ヒットスパイ映画「007」をゲーム化したNINTENDO64のタイトル「ゴールデンアイ 007」は、日本では50位以下であるのに対し、海外ではスーパーマリオ64に次ぐ第2位の売上数を誇っています。

 

なぜレア社のゲームソフトは海外で人気が出るのでしょうか?

 

レア社の出身国

※ここからは筆者の憶測がふんだんに盛り込まれた考察になります。

 

ずばり

バンジョーとカズーイが日本よりも海外で人気が出た理由、およびレア社のソフトが人気である理由は、

開発者であるレア社がイギリスの企業であり、西洋的、もとい「わあるどわいど*」な価値観というものが特色として強く出ているからではないでしょうか…!

※おっと、これは違うゲーム会社のネタでしたね。

 

名前の由来


画像引用:Wikipedia

そもそもバンジョーという名前は、ゲームのオープニングシーンでギターのような楽器を持って演奏していることからもわかる通り「バンジョー」という楽器が由来していると思われます。

バンジョーという楽器はアフリカ系アメリカ人によって作られた撥弦楽器であり、主にカントリーミュージックなどで使用されことからも

海外(主にアメリカ)の方では親しみを持ちやすいイメージ設定がされていると言えます。

ゲーム内の音楽もカントリー調のものや、バンジョーと思われる弦楽器の音を用いたものが多く使用されている印象があります。

日本で例えるなら、海外のゲームソフトから琴をモチーフにしたゲームが発売されるといったイメージに近いでしょうか。

 

P.S. バンジョーの名前の由来は正式には任天堂の元社長である山内溥氏の孫である山内「万丈」氏からきているそうで、楽器のバンジョーは後付けのようです。

 

キャラクターデザイン


画像引用:任天堂HP

キャラクターのデザインについてはどうでしょう?

バンジョー達をじっくり見ていると、任天堂のキャラクターというよりも、どちらかといえば「某ネズミの国」の世界に出てきそうな雰囲気を感じませんか?

これはレア社側が若い層に人気が出るための施策としてディズニーからインスピレーションを受けているからだと言われています。

ウォルトディズニーはアメリカを代表する世界的なキャラクターですから当然海外でのウケが良いビジュアルと捉えることができます。

日本の立場で考えた場合、極端な例ですが「ミッキーとドラえもんならどちらが好きか?」という問いがあったときに、日本に限って言えば日本人ウケの強いドラえもんが良い勝負をするだろうという構図と似ているのではないでしょうか。

 

細部のゲーム設定

その他、キャラクターのちょと皮肉っぽい振る舞いだったり、サウンドエフェクト、ストーリー展開、演出などがいい意味で任天堂っぽくなかったりします。

こういった全体的に海外ウケしそうなゲーム設計というものが、日本と海外でのバンカズに対する印象の違いに繋がっているのではないでしょうか。

 

多彩なアクション

ちなみにプレイ動画を見るとわかるかもしれないのですが、スマブラに参戦が決まった時に盛り上がった理由として、「バンジョー達が持ち合わせている技」と「スマブラで採用されるアクション」との相性が非常に良いということもひとつとしてある気がしています。

バンカズのプレイ経験がある人で、かつスマブラのユーザーであればバンジョー=スマブラというイメージの繋ぎ合わせは余裕だったといえるのではないでしょうか。

 

おわりに

前回、N64のおすすめのゲームタイトルを紹介する記事を作成した際にバンジョーとカズーイは敢えて入れていませんでした。

その理由のひとつはやはり、日本と海外とのウケが大きく違っているからということです。

ですが、その分ハマる人にはとことんハマるゲームであることは間違いないですし、海外のゲーム事情を知る上で重要な役割を担っているゲームであることに間違いはないので、是非興味のある方はプレイしてみてほしい一作品となっています。

 

この記事を書いたライター

せきぞー

詳細プロフィール

普段は野外イベントの設営など行っています。

出来るだけ読者の方の視点に立った執筆を心がけていきます!

物静かな性格なため時折南の島に佇む某石像と勘違いされることもあるとか、ないとか。

Twitter:@100Sekizo

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