「完璧を目指すよりまず終わらせろ」仕事の品質を上げる格言

記事更新日: 2021/04/09

ライター: ナガヤン

この記事のまとめ
  • 「完璧を目指すよりまず終わらせろ」は、Facebook創業者ザッカーバーグ氏の言葉
  • 繰り返しやることが、仕事のクオリティを高めることを意味する
  • 中途半端な仕事をするという意味ではないので注意

 

完璧を目指すよりまず終わらせろ

"Done is better than perfect"

-マーク・ザッカーバーグ

「完璧を目指すよりまず終わらせろ」とは、Facebook創業者マーク・ザッカーバーグ氏の有名な言葉です。

原文は「Done is better than perfect」。シンプルながら力強さを感じるフレーズです。

エンジニア系やビジネス系で仕事の生産性に関する名言とされており、Twitter で「目にした」方もいると思います。

 

 

仕事において最も重要なのはスピード。でも、わかっていても「色々考えすぎてしまって進まない」ということはありますよね。

そんなときに胸に刻んでほしいのが「完璧を目指すよりまず終わらせろ」です。

Facebookでは社内に掲げられており、PCの壁紙にしている猛者もいるそうです。

 

「完璧を目指すよりまず終わらせろ」はこうして生まれた

Facebookのビジョンとして、上場直前に投資家に伝えられた言葉

「完璧を目指すよりまず終わらせろ」は、Facebookが上場するためのIPO(新規株式公開)の数週間前に、会社のS-1の一部である株主への手紙(Investor letter)で将来のビジョンを概説したなかで登場したフレーズです。

ちなみに、S-1はアメリカ合衆国においてIPOを行うために、米証券取引委員会(SEC)に提出する証券登録届出書(開示書類)です。日本における、目論見書や有価証券届出書に相当します。

当時の文章は、visible.vc の「Investor Letters: Mark Zuckerberg before Facebook's IPO」などで読むことができます。

株主への手紙の「The Hacker Way」の節に登場

「The Hacker Way」では、強力な企業を構築する一環として、Facebookが培ってきた独自の文化と管理アプローチを説明しています。

「Hacker」という言葉は、ニュースや映画の影響で「コンピューターに侵入する人々」というイメージが目立ちます。

しかし本来、ハッキングとは、何かをすばやく構築すること、または実行できることの境界をテストすることを意味します。

 

「The Hacker Way」は、継続的な改善と反復を伴う構築へのアプローチです。

要点は次の3点です:

The Hacker Wayのアプローチ
  • 何事も常に良くなる可能性がある
  • 同時に完全なものは何もない
  • ゆえに、それを直さなければならない

 

完全なものはない、常に良くするために直していく

いっけん矛盾するようですが、現在から未来へのアプローチなので両立することがわかります。

 

そしていよいよ「Done is better than perfect(完璧を目指すよりまず終わらせろ)」が、この直後に登場します。

まずは原文から紹介します。

Hackers try to build the best services over the long term by quickly releasing and learning from smaller iterations rather than trying to get everything right all at once. To support this, we have built a testing framework that at any given time can try out thousands of versions of Facebook. We have the words “Done is better than perfect” painted on our walls to remind ourselves to always keep shipping.

― Investor Letters: Mark Zuckerberg before Facebook's IPO

ポイントは次の3点です:

「Done is better than perfect」の真意
  • すべてを一度に正しく実行しようとするのではない
  • 小さなイテレーションからすばやくリリースして学習する
  • これを繰り返すことにより、長期的に最高のサービスを構築する

 

小さい単位で素早くリリースし、そこから学習して修正し続ける。

これが、「Done is better than perfect(完璧を目指すよりまず終わらせろ)」の真意です。

「完璧を目指すよりまず終わらせろ」を仕事に活かすメリット

では、私たちが「完璧を目指すよりまず終わらせろ」を実行すると、どのような影響が出るのでしょうか?

仕事や勉強では、次のようなメリットがあります。

仕事に活かすメリット
  • 悩む時間が減る
  • 先送りがなくなる
  • クオリティが高まる

悩む時間が減る

ほとんどの人が仕事で悩むことの多くは、「どの方法を採るのがベストか」です。

なんてことは、悩むだけ無駄です

 

正確には、あなたがそのノウハウを持っていれば解決できますが、多くの場合は時間の浪費にしかなりません。

必要以上に悩むくらいなら、まずはやってみて、「すばやくリリースして学習する」ことが大切です

 

例えば、「プログラムがバグっているんだけど先輩忙しそうだな」「先方へのメールの文章はこれでいいのかな」と悩んだら、次のように「すばやくリリースして学習」してみましょう。

「プログラムがバグっているんだけど先輩忙しそうだな」

すばやくリリースして:「プログラムのバグで相談したいんですが、いまお時間よろしいですか?」と先輩に伝える

学習する:先輩からバグの原因や解決方法を教わる

 

「先方へのメールの文章はこれでいいのかな」

すばやくリリースして:「メールの文章に不安があるので、確認していただけませんか?」と上司に伝える

学習する:上司からメールの文章のフィードバックを貰う

 

どうでしょう?すぐに解決しそうじゃないですか?

すばやくリリースしてしまえば、悩む必要はなかったのです。

 

もちろん、リリース先は先輩や上司でなくてもよいです。

学習できる相手や環境に、アウトプットをリリースしていきましょう。

先送りがなくなる

ボリュームのある作業があると、億劫でついつい先延ばしに、なんてこと経験ありませんか?

「完璧を目指すよりまず終わらせろ」では、すばやいリリースに必要なのは「小さなイテレーション」としています。

 

全体としてボリュームのある作業でも、作業量を小分けにすることで、リリースまでの作業量を小さくすることができます。

もしあなたが数学的な発想を好むなら、区分求積法を思い出してみると理解しやすいかもしれません。

 

例えば「ユーザーが購入ボタンを押したら、注文内容が適切か確認して、クレジットカードの決済処理を行い、商品の発注注文をかけて、ユーザーに注文確定メールを送る」という機能を実装するとなると、考えることが多くなりますよね。

 

そこで、次のようにイテレーションを小さくしていきます。

「ユーザーが購入ボタンを押したら、注文内容が適切か確認して、クレジットカードの決済処理を行い、商品の発注注文をかけて、ユーザーに注文確定メールを送る」という機能

5つの小さなイテレーションにする

  • 注文内容をチェックする処理
  • クレジットカードの決済処理
  • 商品の発注処理
  • ユーザーへのメール送信処理
  • ユーザーがボタンを押したら、一連の処理を実行する

どうでしょう? 1つはできそうな気がしませんか?

 

小さなイテレーションは、取り組むためのハードルを下がります。

すばやい着手は、すばやいリリースを実現し、物事がすぐに片付き、多くの学びが得られます。

つまり、学習するためのフットワークが軽くなるんです。なんて最高なのでしょうか!

クオリティが高まる

自分の頭のなかだけで、完璧を目指してこだわってしまうと、1つ1つのタスクに時間がかかりすぎてしまいます。

レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』は完成まで3年かかりましたが、すべてのタスクで芸術的なこだわりを出す必要はありません。完璧を目指したらキリがありません。

 

ほかにも、信じているアプローチが実は遠回りだったなんてこともあるかもしれません。

完成間近で発覚すると、軌道修正に時間がかかり、少なくない手戻りになるでしょう。

 

ゆえに、すばやいリリースが大切です。

繰り返しの学習することで、クオリティを高め、確実に成果が出せるようになります。

一度完成させてから修正するのが完成への近道です。

「完璧を目指すよりまず終わらせろ」を仕事に活かす注意点

中途半端な仕事をするという意味ではない

「完璧を目指すよりまず終わらせろ」の話をすると、「じゃあ、とりあえず終わらせればいいんでしょう」と考える人が必ず1人くらいいます。

たしかに期限は大切です。しかし、目的を忘れてはいけません。目的は「より良いリリース」です。質の低すぎるリリースでは、そこから学習できることも少なくなります。

常に限られたイテレーションのなかで、ベストなリリースにできるように取り組みましょう。

 

「多分動くと思うから、リリースしようぜ」

ちなみに、このザッカーバーグの名言には別の有名な訳が存在します。

それは『多分動くと思うから、リリースしようぜ』です。

 

ハッカー文化では、ジョークが好まれるので、こういった砕けた訳も日本の「ハッカー」たちを中心に、広まりました。

初出は特定できませんでしたが、2015年には知られていたようです。

 

 

IT業界を描いたマンガ「社畜ちゃん」の原作者ビタワンさんも好きな言葉なんだそうです。

 

完璧主義気質の人は、「こういった理由だから、早く上げていきましょう」といっても「なるほど、ではそれを完璧にやります!」となりがちなため、ジョークっぽい表現の方がうまく伝わりそうですね。

 

DONE&FIX で、仕事の品質を上げよう!

日本語を話したり、自転車に乗ったりする際に、最初から完璧にやろうと悩んだ人は少ないかと思います。

多くの失敗を集めることが、良い方法・良い品質を生み出します。

仕事でも趣味でも、あなたのプロダクトの質を高めたいのであれば、「すばやい」リリースを心がけてみましょう!

 

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この記事を書いたライター

ナガヤン

著者プロフィール

こんにちは、SEライターのナガヤンです!
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これからの働き方を考えるメディア「JobTier」にて、対談記事を書いていただきました!

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