2021年9月26日に、スクウェア・エニックスから「アクトレイザー・ルネサンス」が配信開始されました。
“神が帰ってくる”『アクトレイザー』が数々の追加要素と共に蘇り、Nintendo Switchで本日配信。天・地・人、全てを創造し、思うがままに破壊せよ。 | トピックス | Nintendohttps://t.co/z6tTykLkYK
— アクトレイザー・ルネサンス【公式】 (@ACTRAISER_PR)September 24, 2021
「アクトレイザー・ルネサンス」は、1990年スーパーファミコンで登場したゲーム伝説のアクション&シミュレーションゲーム「アクトレイザー」のリメイク作品。Nintendo Direct 2021.9.24 でその存在が発表されました。
原作「アクトレイザー」はゲーム音楽の評価が高く、「アクトレイザー・ルネサンス」発表当日も言及する人達が見られました。
アクトレイザー、新ハード発売直後の初期タイトルにも関わらずサウンドハードウェアのポテンシャルを引き出しまくってて、とんでもなく少ないメモリと8音ポリ(実際は効果音も鳴るのでもっと少ない)で恐ろしい音楽鳴らしてた。#アクトレイザー
— オカモトタカシ(12sound LLC) (@t_okmt_12sound)September 23, 2021
音楽が神がかってたな。
— マンジェネリヲン46 (@ManGenesis46)September 23, 2021
サントラは発売後すぐかった。プレミアついてたけど今はどうなのだろう。#古代祐三#アクトレイザー
かくいう僕もアクトレイザーの音楽に心を掴まれたファンの一人。
この音楽のすばらしさを伝えるべく、アクトレイザーのゲーム音楽についてまとめました。
このページの目次
アクトレイザーがリメイクで本日発売致しました。グラフィック一新、新ステージ、新曲がアレンジとスーファミ音源で追加されます。詳細は追ってお知らせいたします。宜しくお願いいたします!https://t.co/34gTHoydNz
— Yuzo Koshiro (@yuzokoshiro)September 24, 2021
「アクトレイザー」で音楽を担当した古代祐三氏は、1986年日本ファルコムの採用試験で持ち込んだ楽曲が、PC-88ゲーム「ザナドゥ・シナリオ2」で使用されたことで、商業音楽家デビュー。以降「ロマンシア」「イース」「ソーサリアン」などで音楽を担当し、音源の特性を活かしたサウンドが高い評価を得ます。
フリーランスを経験したのち、1990年4月に株式会社エインシャントを設立し、初めて発表した楽曲が「アクトレイザー」の作品たちでした。
当時の状況は、サウンドトラックのライナーノーツで、ゲーム評論家 山本 章 氏が、その感動とともに伝えています。
「今度のはね、クラシック風なんです」
90年の夏前、『アクトレイザー』の作曲活動を始めた頃、彼はうれしそうにそう言った。
ついにやるのか、と思い、僕も嬉しくなった。
古代祐三ファンの多くは、「彼の音楽=ロックorプログレ」という図式を、イメージとして持っているかもしれない。
(中略)
しかし、僕は知っていた。彼の作曲能力が、音楽全般に対する類稀な感性に裏打ちされていることを。
ゲーム評論家 山本 章
90年末にセンセーショナルに発売されたスーパーファミコンの特徴の一つに、「音」がある。サンプリング音源8声――これまでの家庭用ゲーム機とはレベルが数段違う、豪華な音源だ。
しかし、誰にでも「凄い」音が出せるのかと言ったら、決してそんなことはない。作曲技術も当然だが、それ以上にプログラム技術が要求される世界なのである。
ゲーム評論家 山本 章
ひとつひとつの音に、耳を傾けて欲しい。実際の楽器の音に限りなく近いサウンドが、奏でられている。
美しいストリングス。張りのあるトランペット。重厚なティンパニー。
『アクトレイザー』のゲーム・カートリッジの中には、間違いなくオーケストラがいる。
ゲーム評論家 山本 章
『アクトレイザー』のゲーム・カートリッジの中には、間違いなくオーケストラがいる。
「オーケストレーションでゲームミュージックを表現したい」と思っていた古代祐三氏にとってこれほどうれしい賛辞はありませんね。
ちなみに、「フィルモア」のみ全体と曲調が違うのですが、その点は同ライナーノーツで次のように述べられています。
このCDの4曲目「フィルモア」だけ曲調が違っているのは、ハードに慣れるため、自分の作りやすいパターンで一番最初に作った曲だからです。
古代 祐三
スーパーファミコン最初期とは考えられないほどの高品質なBGMは話題となり、ゲーム音楽業界に多大な影響を与えました。
特に有名な話に、『FINAL FANTASY』シリーズの楽曲で知られる、植松伸夫氏のエピソードがあります。
植松氏は『FFIV』開発中に『アクトレイザー』の音楽を聴き、「この音には勝てない」と制作終了直前のすでに出来上がっていた曲を全てサンプリングし直したと語っています(出典:「FINAL FANTASY展」のトークステージ)。
植松伸夫 (@UematsuNobuo) (当時スクウェア所属。代表作『FINAL FANTASY』シリーズ):
「(『FFIV』開発中に、アクトレイザーの音楽を聴いて)この音には勝てない。」
「(すでに出来上がっていた曲をサンプリングし直したがでもね、やっぱり勝てなかった。」
「当時のスーファミの音の中では断トツで良かったですね。」
光田康典 (@YasunoriMitsuda) (当時スクウェア所属。代表作『クロノ・トリガー』):
「(こういう音は作れないか?と音楽を聴かされて)これは無理ですよ!」
「『アクトレイザー』が出て、業界に激震が走りました。」
「あの当時、『アクトレイザー』の音の美しさに、すべてのゲーム会社が衝撃を受けたと思いますよ。」
田中伸一(当時ウィンキーソフト所属。代表作『スーパーロボット大戦』シリーズ):
「(『アクトレイザー』のCDを持ってこられ、こんな音出してくださいと言われて)言うのは簡単ですよね。」
「あんなリアルな音で1曲辺り64KBで収まっているのが信じられない。」
阿保剛 (@valsound) (当時スタークラフト所属。代表作『Steins;Gate』):
「どうやってもスーパーファミコンで作れるはずのない音が鳴っていたので、不思議で仕方ありませんでした」
ゲーム「アクトレイザー」のサウンドトラックに収録されている楽曲は次の18曲です。
なかでも「フィルモア」「世界樹」「捧げ物」の3曲は、ゲーム音楽ファン御用達サイト「みんなで決めるゲーム音楽ベスト100まとめwiki」の人気投票で何度もランクインしていて、個別の楽曲ページが作成されています。
アクトレイザーの音楽に魅了されたのは、ゲーム音楽業界の人たちだけではありません。当時のゲームファンの間でも衝撃的で、時を経た今でもアレンジ作品が発表されています。
スーパーファミコンより1世代前のファミコン音源でのアレンジ。チップチューンらしさが強まっている作品です。
美しい電子音のDTM音源で作られたアレンジ。使用音源の「Roland SC-88PRO」は、1994年発売。スーパーファミコンより音色が多いのが特徴的です。
珍しい「人々の誕生」のアレンジ作品。ウクレレの音色が素朴さを際立たせるステキな一曲に仕上がっています。
「この音には勝てない。」と言わしめた植松氏のFF4「バトル2」を、アクトレイザーの音源でアレンジした一作。植松氏が知ったら苦い顔をしそうですね(笑)
22時からアクトレイザー!
— 戌神ころね (@inugamikorone)April 19, 2020
今日はクリアまでやるどおおおお!!!!
#2【アクトレイザー(SFC)】新世界の神となるんだー!!!【クリアまでやる】https://t.co/xBqSobCWGr
サムネ絵は、星クズの夜(@ hoshikuzu_yoru)様pic.twitter.com/zAjIBS7ibn
2020年4月、ホロライブ所属のVTuber「戌神ころね」さんが、「アクトレイザー」を実況プレイ配信していました。
このプレイ配信は古代氏の耳にも届いており、クリア記念にアレンジ曲をTwitterに投稿されました。
ころねさんクリア記念! グラディレイザーⅡ
— Yuzo Koshiro (@yuzokoshiro)April 19, 2020
GradiaserⅡpic.twitter.com/UjmjLPq8Ra
すごいですなんじゃこりゃああああ
— 戌神ころね (@inugamikorone)April 19, 2020
耳に染み付くぐらい聴きますありがとうございます
コンサートもいつの日か…!!!
本当に本当に本当にありがとうございます神様
戌神ころねさんが言及しているコンサートとは、かつて古代氏の音楽を演奏したコンサート「古代祭り」を開催した新日本BGMフィルハーモニーに、古代氏がエールを送っていたものを拾った形です。
古代氏と戌神ころねさんの交流はこの後も続き、戌神ころねさんの誕生日には古代氏がテーマ曲を贈っています。
戌神ころねさん@inugamikorone、お誕生日おめでとうございます! お誕生日プレゼントのテーマ曲を作曲させていただきました。アクトレイザーのフィルモアっぽい曲を、とのことでしたので気合入れてスーファミ実機で作りました。ころさんファンの皆様にも気に入っていただければ嬉しいです!
— Yuzo Koshiro (@yuzokoshiro)October 1, 2020
ちなみに、当時の配信動画は現在非公開ですが。切り抜き動画で当時の雰囲気が感じられます。
2020年12月16日、アクトレイザーが30周年を迎えました。
それを記念して、古代祐三氏によるアレンジ版『フィルモア』がファミ通で独占公開されました(出典:ファミ通.com)。
30周年記念としては、ファンにとっても嬉しいサプライズ。
さらに、2021年2月にはアクトレイザーのサウンドトラックが新装発売しました。
「耳をかせ!」から三十年。アクトレイザーのサントラが新装発売!@wayorecords@NewJapanBGMPhilpic.twitter.com/VnNdbXq7hM
— Yuzo Koshiro (@yuzokoshiro)February 6, 2021
まだまだ伝え足りないですが、今回はこのあたりにしたいと思います。
リメイク作「アクトレイザー・ルネサンス」では、全楽曲の収録に加え、古代氏のセルフアレンジと新規楽曲15曲が追加されています。
さらに早期購入者特典には、ミニサウンドトラックも付いてきます。アクトレイザーの音楽に心を掴まれたのであれば、ぜひ手に入れていただきたいところです。