2021年7月23日(土)、東京オリンピック2020の開会式が東京・国立競技場で行われました。
開催直前まで不安視されていましたが、開会式を通して多くの国民が目にする全国的なイベントとして幕を開けました。
特に開会式のなかで盛り上がりを見せたのは、各国選手団の入場行進でした。なんと、入場行進曲に日本の人気ゲームからテーマ曲など選曲し、選手を「勇者」や「英雄」に見立てた演出でネットを沸かせました。
実際の開会式の映像は、ハイライトがNHKのYouTubeチャンネルに、フルタイムの見逃し配信がNHKの公式サイトに公開されています。
ゲームで育った世代としては、あまりにも嬉しい演出。どのゲームの曲が選ばれたのか、どんな反響があったのかをまとめてみました。
このページの目次
開会式の選手入場で流れたゲーム楽曲は次の19曲です。
・ドラゴンクエスト「序曲:ロトのテーマ」(スクウェア・エニックス)
・ファイナルファンタジー「勝利のファンファーレ」(スクウェア・エニックス)
・テイルズオブシリーズ「スレイのテーマ~導師~」(バンダイナムコエンターテインメント)
・モンスターハンター「英雄の証」(カプコン)
・キングダムハーツ「Olympus Coliseum」(スクウェア・エニックス)
・クロノ・トリガー「カエルのテーマ」(スクウェア・エニックス)
・エースコンバット「First Flight」(バンダイナムコエンターテインメント)
・テイルズオブシリーズ「王都-威風堂々」(バンダイナムコエンターテインメント)
・モンスターハンター「旅立ちの風」(カプコン)
・クロノ・トリガー「ロボのテーマ」(スクウェア・エニックス)
・ソニック・ザ・ヘッジホッグ「Star Light Zone」(セガ)
・ウイニングイレブン「eFootball walk-on theme」(コナミ)
・ファイナルファンタジー「MAIN THEME」(スクウェア・エニックス)
・ファンタシースターユニバース「Guardians」(セガ)
・キングダムハーツ「Hero’s Fanfare」(スクウェア・エニックス)
・グラディウス「01 ACT I-1」(コナミ)
・ニーア「イニシエノウタ」(スクウェア・エニックス)
・サガシリーズ「魔界吟遊詩 サガシリーズメドレー2016」(スクウェア・エニックス)
・ソウルキャリバー「The Brave New Stage of History」(バンダイナムコエンターテインメント)
メーカー別では、スクウェア・エニックスから最多の9曲選曲。「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」「キングダムハーツ」「クロノ・トリガー」など、世界的に有名なシリーズ作品から選ばれているようです。
ゲームメーカー別の選曲数。スクエニがダントツである。
そのほか、バンダイナムコから4曲、セガ・コナミ・カプコンから各2曲が選ばれています。
うちカプコンの2曲は、「モンスターハンター」1作品からの選曲。作品数では最も少ない選曲となりました。
勘のいい方はお気づきかと思いますが、選ばれた曲には「物語の始まり」「仲間との協力」「災厄に立ち向かう」といった共通するテーマが読み取れます。コロナ禍のなか開催するオリンピックらしいメッセージですね。
最初にドラクエの序曲はグッジョブ#オリンピック開会式
— hkzero (@hkzero98)July 23, 2021
ちょっとまって
— むさし@ドラクエ@観劇 (@MusashiClassic)July 23, 2021
ちょっとまって
オリンピック開会式でドラクエの序曲流れて動揺しているのだが
(録画追っかけ中)
オリンピック、
— 小麦 (@wheat___1216)July 23, 2021
全然乗り気やなかったけど
めっちゃ感動してる。
ドラクエの序曲から始まるの
アツすぎる。
ファンファーレ聞こえた時、気絶しそうやった。
ドラクエからのFFはいいなぁ…
— 栗グミ (@midorihakubutu1)July 23, 2021
英雄の証が流れた時に入場したアルバニアという国
— わとそん会長喜び方が中学生 (@WatokoGames)July 23, 2021
国旗がモンハンぽくて最高
しかもアルバニアって名前もぽくて最高
最高pic.twitter.com/iyC80oHWfi
モンハンは英雄の証と旅立ちの風
— KYOJUN (@Type107Kyojun)July 23, 2021
キンハがオリンポスコロシアムとか選曲のセンスがいい
落ち着いてプレイリスト観直したら
— マユラ@バ美肉エルフ【サブ垢】 (@madmadmadness)July 23, 2021
クロノトリガーから2曲入ってて草生えた
この選曲した奴、天才か…?
>◆クロノ・トリガー「カエルのテーマ」
>◆クロノ・トリガー「ロボのテーマ」
カエルのテーマが良すぎてびしゃびしゃに泣いた
— のんか ✿ skeb募集 (@nonka1121)July 23, 2021
First Fight流れてるやん!!!!!エスコン5のBGMが!!!!!オリンピックで!!!!!!流れてる!?!?!??!?!?
— コスモス@Ship4 (@PSO2AstralNova)July 23, 2021
え?!!まじか♪
— 神威うてな (@kamui_utena)July 23, 2021
エースコンバット!!!
キタワァ━━━━━━(n'∀')η━━━━━━ !!!!
やべぇよ「First Fight」神曲なんよマジ#開会式#エースコンバット
イニシエノウタの意味よ、意味、NieRのゲームテーマとその中で使われたイニシエノウタの意味を見れば最適解、パーフェクト
— ぎみっく (@gimi_sitanaga_)July 23, 2021
イニシエノウタは何語でもないからある意味グローバルというか
— あづみ (@ine_ka)July 23, 2021
オケだけなのかと思ったらちゃんと歌入りだったね。好きな歌
一方で、誰もが知る日本の世界的ゲームメーカー「任天堂」からの楽曲はゼロでした。
「スーパーマリオ」シリーズをはじめ、「ゼルダの伝説」や「星のカービィ」、「ポケットモンスター」、「大乱闘スマッシュブラザーズ」を知らない人はいないでしょう。
前回夏季大会の「2016年リオデジャネイロ・オリンピック閉会式」では、安倍首相(当時)がマリオに扮して登場するパフォーマンス(いわゆる「安倍マリオ」)もあっただけに、残念がる声が上がっていました。
任天堂どこいったしの開会式でマリオが日本に来て日本を紹介しつつスーパーマリオスポーツからの実写化みたいな演出でアスリートに繋がってくのかと思ってたよヨッシー。終。
— ティギム (@blood_flowerso)July 24, 2021
今回の開会式、任天堂バージョン見たかったなー
— なおてるてるて@福岡 (@nao777kun)August 1, 2021
開会式、AKIRA演出マジで見たかったな。。。あとゲームBGMで任天堂曲がなかったのは色々あったかららしいです。本当糞な大人の都合なんて糞食らえ
— おっせんさん@ドブ仙人 (@osasentan0720)July 24, 2021
週刊文春が7月28日に報じた初期案によると、任天堂の楽曲も予定されていたようです。
⇒ 「台本11冊を入手 五輪開会式“崩壊” 全内幕 計1199ページにすべての変遷が | 週刊文春 電子版」
そこに記載されていた「幻の入場曲」は次の5曲です。
・ゼルダの伝説「メインテーマ」(任天堂)
・聖剣伝説2「子午線の祀り」(スクウェア・エニックス)
・スーパーマリオブラザーズ「スーパーマリオ組曲」(任天堂)
・星のカービィ「スーパーデラックスメドレー」(任天堂)
・ポケットモンスター「オープニング」(任天堂)
大会組織委員会からの公式発表ではないですが、実現していたら任天堂を待ち望んでいたファンには嬉しい選曲でした。
ゲーム音楽での入場曲の演出は、エキサイティングなスポーツの祭典を彩るだけでなく、ゲームファンを巻き込んだ新しいスポーツの祭典の可能性を感じさせられました。
もちろん、それ自体は非常に喜ばしいことです。でも、一人のゲームファンならこうも思うでしょう。
自分の方が、もっといい選曲ができるんじゃない?
唐突にそんな気持ちになったので、 せきぞーさんを巻き込んで 「ぼくのかんがえた最強の入場組曲」を考えてみました。
ゲーム音楽談議に華を咲かせていたら、企画に巻き込まれた。
ゲームボーイSPの基盤組み換えなどをやってのけるナイスガイ。
好きなゲームは「ロックマンX4」
それでは早速行ってみましょう。トップバッターナガヤンの入場組曲はこの21曲です。
・ポケットモンスター サン・ムーン「頂上決戦!」(任天堂)
・天穂のサクナヒメ「颪 ―おろし―」(マーベラス)
・ファイアーエムブレム 風花雪月「フォドラの暁風」(任天堂)
・Fate/Grand Order「集いし英雄」(TYPE-MOON)
・ゼノブレイド「名を冠する者たち」(任天堂)
・ナムコクロスカプコン「すばらしき新世界」(バンダイナムコエンターテインメント)
・スマブラDX「夢の泉」(任天堂)
・パワプロクンポケット7「ガッツだー!」(コナミ)
・聖剣伝説2「子午線の祀り」(スクウェア・エニックス)
・斑鳩「理想 - Ideal」(トレジャー)
・ファイナルファンタジー5「ビックブリッヂの死闘」(スクウェア・エニックス)
・エースコンバット5「First Flight」(バンダイナムコエンターテインメント)
・エースコンバット・ゼロ「ZERO」(バンダイナムコエンターテインメント)
・エースコンバット・ゼロ「THE ROUND TABLE」(バンダイナムコエンターテインメント)
・モンスターハンター4「旅立ちの風」(カプコン)
・東方風神録「明日ハレの日、ケの昨日」(上海アリス幻樂団)
・東方緋想天「地の色は黄色」(黄昏フロンティア)
・ペルソナ4「Reach Out To The Truth」(アトラス)
・ネコネイビー「シューティングスター」(デスモフモフ)
・セブンスドラゴン2020「戦場-暗雲を穿て!」(セガ)
・誰ガ為のアルケミスト「歩みは慈愛と誇りに満ちて」(Fuji&gumi Games)
全体的にバトル曲が多めの曲構成です。
ナガヤン
「入場曲のテーマは『多様性と調和』。
13社の多様なメーカー作品から20曲を取り揃えて、日本のゲーム業界全体で調和がとれた構成に仕上げました。
『世界的な競技大会』をイメージしたため、バトル曲が多めになっていますね。」
「1曲目にはポケットモンスター サン・ムーンから『頂上決戦!』。日本ゲームの代表ともいえるポケモンのなかから、頂上決戦というオリンピックの幕開けにふさわしい曲です。オープニングのフレーズを活用しているため、新しい風を感じながらも、どこか懐かしさを感じられます。
続くサクナヒメは、2020年に発売された米を作り育てるをテーマとしている奇作で名作。後半の東方とならび古き良き日本を彩ります。」
「スポーツの祭典ならではのスポーツマンシップも意識しています。騎士道を感じられる作風のFateやFE、常に自分のスキルが試される斑鳩やエスコンの曲が適度な緊張感のある空気を演出します。
一方で堅苦しさだけにならないよう、スマブラ(原曲:星のカービィ)とパワポケからテンションが上げる曲を挟み込みました。」
「2020年東京を舞台とした作品『セブンスドラゴン2020』からも、不安を払うような力強い一曲を入れています。
最後には、タガタメより『歩みは慈愛と誇りに満ちて』。大手ゲーム会社と比べると知名度は低いですが、作曲者は『ストリートファイター2』『キングダムハーツ』の下村陽子さん。荘厳さと安定感のある曲調でラストスパートを締めくくります。」
せきぞー
「スマブラDX『夢の泉』は、アリよりのアリ。自分もグルメレースは入れるか相当迷いましたが行進曲となるとミスマッチだよなと思って外していました。ですが、このオーケストラアレンジなら文句なしです。
サクナヒメ、テーマだけ聞くと奇作すぎて稲生えますわ。」
ナガヤン
「そうなんですよ!僕も『夢の泉』のあと『グルメレース』も聴いたのですが、テンポが速すぎて式典の行進曲に合わないんです。
それが『夢の泉』はテンポを落としていながらメリハリがあるので、組み入れさせていただきました。
サクナヒメは、ゼル伝みたいなアクションRPGなのですが、主人公のステータスに影響してくるんです。
当時は攻略のために、JAや農林水産省のHPを読むというプレイヤーの奇行もありました。それもあって個人的にツボですね。」
そんな奇作「天穂のサクナヒメ」のプロモーション映像がコチラ。アクション映像のなか唐突に農作業が挟まるのがぶっ飛んでます。
続きまして、せきぞーの入場組曲はこの32曲です。
・スーパーマリオブラザーズ「地上BGM」(任天堂)
・スーパーマリオワールド「タイトルテーマ」&「地上BGM」(任天堂)
・スーパーマリオ64「ボムへいのせんじょう」(任天堂)
・メタルギアソリッド「メインテーマ」(コナミ)
・ポケットモンスター「オープニング」&「エンディング」(任天堂)
・ゼルダの伝説「メインテーマ」(任天堂)
・スターフォックス「オープニング」&「コーネリアス」(任天堂)
・ファイナルファンタジー「メインテーマ」&「プレリュード」&「チョコボのテーマ」(スクウェア・エニックス)
・ドラゴンクエスト「序曲」(スクウェア・エニックス)
・ドラゴンクエスト3「冒険の旅」(スクウェア・エニックス)
・大神「太陽は昇る」(カプコン)
・モンスターハンター「英雄の証」(カプコン)
・サクラ大戦「檄!帝国華撃団」(セガ)
・ロックマンX「ステージセレクト」&「オープニングステージ」(カプコン)
・ロックマンX4「ステージセレクト」&「負けない愛がきっとある(仲間由紀恵)」(カプコン)
・星のカービィ「Green Greens」(任天堂)
・MOTHER「POLLYANNA」(任天堂)
・スーパドンキーコング2「オープニング」&「Jig Jig」(任天堂)
・ストリートファイター2「リュウステージ」&「ガイルステージ」&「ザンギエフステージ」&「M.バイソンステージ」&「キャミィステージ」(カプコン)
・ストリートファイター2 ムービー「愛しさと切なさと心強さと」(カプコン)
全体的にボリュームがある構成ですね。
せきぞー
「テーマは『王道と偏見のよくばりセット』。
『多くの人がより盛り上がれる曲=たくさんプレイされてきた曲』だろうということで、続編が販売されるほどの名作をメインに揃えてみました。」
「かつて子供だった頃に幾度となく聴いたことがあり、さらに名作と呼ばれるソフトは時代がかわっても色褪せることなく、再販やリメイクなどが行われます。使用された楽曲は続編でも流用されることが多いので、今の世代の子供が聴いても思わず沸き立つような曲であるところもミソです。
プレイしたことがなくて聴き覚えがなかったとしても単純に楽曲のクオリティが抜群でテンションを上げずにはいられないもの、単純に自分の思い入れの強いもので構成してます。」
「これから始まる壮大なストーリーを彷彿させるワクワクした曲調、聴いただけで夢中になってのめり込んだ思い出を呼び覚まし、選手がこれから始まるゲーム(競技)の主人公であるかのように、観客はこれからそのプレイヤー(選手)を選択してプレイしていくかのように思ってもらえるようなラインナップだと思います。
選手が行進する時に違和感がないような曲調であることも考慮しています。」
「ゲームの序盤で流れる曲がメインになっているのは「始まり」をイメージして選んでいたら結果的にそうなってしまったという感じですね。
ポケモンの初代のエンドロールで流れる曲は、アニメ版の冒頭で今でも頻繁に使われているので、本来のエンディング曲だと思っている人は少ないかもしれません。」
ナガヤン
「王道オブ王道って感じですね!しかも任天堂楽曲だけで13曲も!
せきぞーさん、メチャクチャ任天堂好きじゃないですか!」
せきぞー
「むしろ任天堂がないゲームの世界なんてゲームと呼べないです(真顔)
あと、個人的に『負けない愛がきっとある』は『愛しさと切なさと心強さと』に次ぐ、隠れた名曲だと思ってます。
当時のCMでZEROが『俺は、一体何のために、戦っているんだぁああああああ』と叫ぶシーンとも相まってかなり印象に残ってる歌です。」
そんなCMの映像がこちら。わかる人にはわかるんだそうです。
実際に楽曲を選んでみると、大会のコンセプトを意識しつつ19曲に納めるというのは意外と難しいものでした。関係各所の調整をしながら、選曲をした大会委員の方々の苦労は想像できませんね。
ともあれ、世界的なイベントでゲーム音楽が用いられたことは、私たちを楽しい気持ちにさせてくれました。
開会式で流れていた楽曲をまとめられていた動画がありましたので、こちらを紹介して締めとします。
ポケモン金銀をキッカケに、ゲームの仕組みに興味を抱き、SEになった人。
1つのゲームをやり込むタイプで、図鑑のコンプに幸せを見出すタイプ。
ゲーム音楽は、グラフィックと並びゲームを彩る重要なファクターだと信じており、
クリア後には必ずサウンドトラックを買って、オーケストラコンサートがあれば行くほど。
好きなゲームは「エースコンバット5」