東京オリンピックの開会式が開催されました。
なかでも選手入場はドラクエやFF、モンハンといった日本を代表するゲーム音楽をBGMに行われました。
カザフスタンの旗手の女性が美しすぎると共にBGMのFFメインテーマが合い過ぎてて震えた。
— Masa (@masaymzk)July 23, 2021
リアルFFでも始まるのかと思った。#東京2020#オリンピック開会式pic.twitter.com/6B39JGRKu8
あれ、でもちょっとまって…
任天堂作品の楽曲が1曲もない…?
そう、日本ゲームの代表的存在である「任天堂」のゲーム音楽が一切使われていなかったのです。
オリンピックという世界的セレモニーに、業界トップ企業が含まれないのは違和感がある選曲ですよね…?
ちょっと不思議に思い、なぜ使われなかったのか調べてみました。
このページの目次
2021年7月23日に行われた「東京2020オリンピック」の開会式。
そこで様々な有名ゲームの音楽をBGMに、選手が入場してくるシーンは大きな話題になりました。
東京五輪開会式 選手団入場曲が日本のゲーム音楽で飾られる。使用楽曲一覧はこちらhttps://t.co/da455rGAjR
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame)July 23, 2021
『ドラクエ』『FF』『モンハン』など有名タイトルがずらり。桜井政博氏や堀井雄二氏など、著名なゲームクリエイターも歓喜の声をあらわにpic.twitter.com/mO6Ua3UqWc
ドラゴンクエストにファイナルファンタジーと、世界的にも有名なゲーム作品のゲーム音楽が並んでいます。
しかし、なにか違和感があります。
そう、冒頭でも触れましたが、大事なことなのでもう一度言います。
日本のゲームとしては欠かせない、任天堂のゲーム音楽が1曲もなかったのです!
任天堂は、2016年のリオオリンピックの閉会式では「安倍マリオ」が登場するなど、演出に一役買っていました。
東京オリンピック延期かぁ…
— MORO MORO(モロモロ)@バクシン教マックイーン推し (@MOROMORO251)March 24, 2020
4年前のリオで安倍総理がマリオのコスプレして土管から登場した時は、こんなにも波乱万丈な展開ばかりになるとは思わなかったpic.twitter.com/e9qNWwV9db
ではなぜ、開会式では任天堂の楽曲が1つもなかったのでしょうか。
任天堂から楽曲提供のなかった理由は、公式では明らかにされていません。
そのため、ファンの間では様々な理由が考えられています。
以上が主に話題になっている理由です。
なぜそう考えられるのか、どのくらい信憑性があるのか、1つずつ確認していきます。
オリンピック開会式で任天堂の曲がないのは単にJASRACに登録してないだけじゃないかな。直接メーカーに許諾とる時間ないからJASRAC登録されてるゲーム楽曲から適当に選んだだけな感じがする。といいつつ閉会式で任天堂縛りだったら面白いけど。安直にアニメ曲メドレーだったら笑う。
— miza (@miza)July 24, 2021
JASRAC絡みで任天堂使えなかったんだ!とか説出てきたけど、国家どころか国際行事で、しかも予算じゃぶじゃぶあって、いくらでも強行出来るのに使わない自体がそもそもおかしい訳で。
— nagarekeijin@刑部㌠ (@okitesan)July 23, 2021
なんでこうなった。
市販の音楽がそうであるように、ゲーム音楽も日本音楽著作権協会「JASRAC」に著作権管理を信託することができます。
権利者がJASRACに信託するメリットは著作権管理を委ねられること。
同時に、利用者はJASRACに使用料を払うことで、音楽を使用することができようになります。
任天堂はゲーム音楽の著作権を自社で持っています。
楽曲を使用する際には使用許諾を得るために任天堂に直接確認することになります。
そのため、権利関係の都合で使えなかったというのがこの主張です。
ところが実際は、使用された曲にもJASRACに登録されていない曲がありました。
JASRACに登録されてる曲ばかりだった(任天堂は登録してないので、お金が発生する場所で使用する場合直接交渉しないとだめ)……という話も見たので、察するものがあるよね……
— 雷蔵 (@raizo333)July 28, 2021
というのをソース調べてなかったら違ったみたいだ、登録されてない曲もあったってさ〜
このことから、楽曲使用権は任天堂の曲が使われなかった決め手ではなさそうです。
ドラクエ、FF、KH、クロノ・トリガー、サガシリーズ、NieR
— R.KATO (@shimizu12soul)July 23, 2021
→スクエニ
テイルズ、エスコン、グラディウス
→バンナム
モンハン→カプコン
ソニック、ファンタシースターユニバース →セガ
PES→コナミ
全部eスポーツ連合会員のメーカーのやつじゃん。任天堂の曲が入ってないのこれが理由な気が…https://t.co/MRdXqnbBBQ
入場曲が偏ってるのは楽曲提供が日本eスポーツ連合加盟企業だからなのかな。任天堂はJeSU非加盟。でも電通から交代させられる当初企画案ではマリオが各競技を紹介するはずだったから本来ならバランス取れてたのかしらhttps://t.co/2k1EPWRFeNpic.twitter.com/RQPiEU3ENq
— すまほん!!5G (@sm_hn)July 23, 2021
開会式で使用されたゲーム音楽のメーカーは、みな「日本eスポーツ連合(JeSU)」に加盟しているメーカーでした。
日本eスポーツ連合(JeSU)は、将来のeスポーツの五輪種目採用に向けて設立された、eスポーツの普及やeスポーツ選手の育成のための団体です。
そして、任天堂はJeSUに加盟していません。
このことから、「JeSUが楽曲提供をしたため、加盟していない任天堂のゲーム音楽が使用されなかった」との考察がありました。
今までJesuに実害ないしって思ってたけど
— FishBLUE (@3838fishblue)July 25, 2021
開会式の入場で使われたゲーム曲がJesu参加組だけだったのって
俺が初めて被ったJesuによる実害ってなってJesu反対に回って良い気がする
閉会式で安倍マリオして引き継いで
開会式で任天堂なしって頭Jesuかよ
この理由は状況からの推察のみで、具体的な根拠がありません。
たしかに、JeSUはプロライセンス制度を導入し、ライセンスがないと賞金を受け取れなくするなど、設立目的に反してダーティで不誠実な態度で既存のプロゲーマーやゲームファンからヘイトを買っていました。
しかし、開会式においてJeSUが楽曲提供をしているという事は明言されていません。
JeSUが楽曲提供をしていたならば、会長や理事がいるセガやカプコン、コナミの曲が少なく、理事がいるガンホーからの曲が全くないのはバランスが悪いです。
JeSUの役員一覧の一部。「一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト」より
JeSUに大きな影響力があるとされる「コンピュータエンターテインメント協会(CESA)」の影響も疑ってみましたが、理事のいるコーエーテクモからの楽曲提供がありませんでした。
CESA役員一覧の一部。「一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会」より
そのため、JeSUが関係しているという主張は、大変もっともらしいですが、やっかみの噂ではないかと考えられます。
ちなみに、任天堂はJeSUにこそ加盟していませんが、eスポーツに反対かというと、スプラトゥーンで大会開催をするなど積極的で、独自の動きでeスポーツの促進をしているようです。
最も有力な説として、MIKIKO案ともに任天堂が五輪演出から降りたという主張があります。
週刊文春の記事が根拠となっており、これまでの予想より信憑性が高いものとなっています。
台本11冊を入手 五輪開会式“崩壊” 全内幕 計1199ページにすべての変遷が#週刊文春https://t.co/I43C6CrScH
— 週刊文春 (@shukan_bunshun)July 28, 2021
週刊文春の記事によると、MIKIKO案を進めている間は、任天堂から宮本茂氏が競技紹介の監修をしていました。
宮本茂氏は、2019年にゲーム業界で初めて「文化功労者」に選ばれた人物です。
競技紹介の演出には、任天堂らしくマリオなどキャラクターCGによる演出を計画していたようです。
競技紹介は任天堂の宮本茂代表取締役が監修し、スーパーマリオやインベーダーゲームのキャラクターのCGが盛り上げていく。
各国選手の入場行進で流れる曲も「ゼルダの伝説」や「ポケットモンスター」といった任天堂作品の曲が予定されていました。
かたや花形の一つ、入場行進では「ドラゴンクエスト」など、世界的に有名なゲームの楽曲が19曲流れた。だが、6月16日付の〈MUSIC LIST〉の選手入場の項目を見ると、本番で流れなかった5曲の曲名が記されている。「ゼルダの伝説」のメインテーマや「スーパーマリオブラザーズ」のスーパーマリオ組曲、「ポケットモンスター」のオープニング……共通点はただ1つ、「任天堂ソング」ということだ。
https://bunshun.jp/denshiban/articles/b1436
しかし、MIKIKO氏から実験が離れると、競技紹介の演出は変えられてしまい、最終的には任天堂の曲もすべて外されてしまいました。
「MIKIKOチームでは競技紹介を任天堂に監修してもらいましたが、代表取締役の宮本氏は自ら本社のある京都から毎週のように上京し、会議を重ねていました。しかし佐々木氏に実権が移った後、彼は競技紹介をあっさりピクトグラムに変えた。そのことには、任天堂側も複雑な思いがあるのでしょう。結局、本番直前で任天堂の曲は全て外されました」(別の電通関係者。任天堂は「当社は回答する立場にございません」)
この記事が公開されると、これまでの予想はかき消され、瞬く間に大会組織委員会へ矛先が向きました。
言いたい事いっぱいありますけど、入場曲に任天堂のゲー音が一切入ってなかったのを事情通ぶった人が『JASRAC曲じゃないから~』と問題ないアッピールしてましたが、実際は任天堂が関わった出し物が軒並みオシャカになったのが原因だったんですね。想像以上に理由が酷かった。
— けいた (@0721_gg)July 28, 2021
文春見る限り、憶測で流れてたJASRACとかeスポーツ連盟とかは無関係で、任天堂の判断で#東京2020から手を引いた感じで腑に落ちた。
— 悠 (@bellcherry)July 28, 2021
責任者だった演出家MIKIKOさんを強制排除しなければ、ドラクエとFFの間にゼルダが流れる開会式が見れたのかと思うと残念な気持ち…。
電通がクソなのは相変わらず。
非常に信憑性がある内容で、真実であればひどい話です。
ただ、記事構成としては、匿名のタレこみと流出資料を中心に構成しており、MIKIKO氏や任天堂は沈黙を保っています。
週刊文春も確信をもって公開に踏み切っていると考えますが、外部からは真実であるか検証することが難しい情報といえるでしょう。
つまり、まとめるとこうです。
なぜ任天堂の曲が選ばれなかったのか、一つ一つ検証をすることで、信憑性の高い情報に近づくことができました。
任天堂の演出がなかったことは、任天堂作品のゲーム音楽を期待した人々、安倍マリオの続編を待ち望んだ世界の人々に、深い悲しみと失望感をあたえました。
オリンピックの主役である選手たちを、世界各国の人々が心から応援したくなる。そんな最高の入場曲で「おもてなし」の演出を開会式で見たかったものですね。