任天堂はどこに?オリンピック開会式で一曲も流れなかったワケ

記事更新日: 2021/08/17

ライター: ナガヤン

東京オリンピックの開会式が開催されました。

なかでも選手入場はドラクエやFF、モンハンといった日本を代表するゲーム音楽をBGMに行われました。

 

 

あれ、でもちょっとまって…

任天堂作品の楽曲が1曲もない…?

 

そう、日本ゲームの代表的存在である「任天堂」のゲーム音楽が一切使われていなかったのです。

オリンピックという世界的セレモニーに、業界トップ企業が含まれないのは違和感がある選曲ですよね…?

ちょっと不思議に思い、なぜ使われなかったのか調べてみました。

期待されていた任天堂の登場

2021年7月23日に行われた「東京2020オリンピック」の開会式。

そこで様々な有名ゲームの音楽をBGMに、選手が入場してくるシーンは大きな話題になりました。

 

 

ドラゴンクエストにファイナルファンタジーと、世界的にも有名なゲーム作品のゲーム音楽が並んでいます。

しかし、なにか違和感があります。

そう、冒頭でも触れましたが、大事なことなのでもう一度言います。

日本のゲームとしては欠かせない、任天堂のゲーム音楽が1曲もなかったのです!

 

任天堂は、2016年のリオオリンピックの閉会式では「安倍マリオ」が登場するなど、演出に一役買っていました。

 

 

ではなぜ、開会式では任天堂の楽曲が1つもなかったのでしょうか。

任天堂の曲がなかった理由とは

任天堂から楽曲提供のなかった理由は、公式では明らかにされていません。

そのため、ファンの間では様々な理由が考えられています。

  • JASRACの管理楽曲ではないから
  • 日本eスポーツ連合(JeSU)に加入していないから
  • MIKIKO案とともにオリンピックと決別した

以上が主に話題になっている理由です。

なぜそう考えられるのか、どのくらい信憑性があるのか、1つずつ確認していきます。

JASRACの管理楽曲ではないから?

 

 

市販の音楽がそうであるように、ゲーム音楽も日本音楽著作権協会「JASRAC」に著作権管理を信託することができます。

権利者がJASRACに信託するメリットは著作権管理を委ねられること。

同時に、利用者はJASRACに使用料を払うことで、音楽を使用することができようになります。

 

任天堂はゲーム音楽の著作権を自社で持っています。

楽曲を使用する際には使用許諾を得るために任天堂に直接確認することになります。

そのため、権利関係の都合で使えなかったというのがこの主張です。

 

ところが実際は、使用された曲にもJASRACに登録されていない曲がありました

 

このことから、楽曲使用権は任天堂の曲が使われなかった決め手ではなさそうです。

日本eスポーツ連合(JeSU)に加入していないから?

 

 

開会式で使用されたゲーム音楽のメーカーは、みな「日本eスポーツ連合(JeSU)」に加盟しているメーカーでした。

日本eスポーツ連合(JeSU)は、将来のeスポーツの五輪種目採用に向けて設立された、eスポーツの普及やeスポーツ選手の育成のための団体です。

そして、任天堂はJeSUに加盟していません。

 

このことから、「JeSUが楽曲提供をしたため、加盟していない任天堂のゲーム音楽が使用されなかった」との考察がありました。

 

この理由は状況からの推察のみで、具体的な根拠がありません。

たしかに、JeSUはプロライセンス制度を導入し、ライセンスがないと賞金を受け取れなくするなど、設立目的に反してダーティで不誠実な態度で既存のプロゲーマーやゲームファンからヘイトを買っていました。

しかし、開会式においてJeSUが楽曲提供をしているという事は明言されていません。

 

JeSUが楽曲提供をしていたならば、会長や理事がいるセガやカプコン、コナミの曲が少なく、理事がいるガンホーからの曲が全くないのはバランスが悪いです。

JeSUに大きな影響力があるとされる「コンピュータエンターテインメント協会(CESA)」の影響も疑ってみましたが、理事のいるコーエーテクモからの楽曲提供がありませんでした。

そのため、JeSUが関係しているという主張は、大変もっともらしいですが、やっかみの噂ではないかと考えられます。

 

ちなみに、任天堂はJeSUにこそ加盟していませんが、eスポーツに反対かというと、スプラトゥーンで大会開催をするなど積極的で、独自の動きでeスポーツの促進をしているようです。

MIKIKO案とともにオリンピックと決別した?

最も有力な説として、MIKIKO案ともに任天堂が五輪演出から降りたという主張があります。

週刊文春の記事が根拠となっており、これまでの予想より信憑性が高いものとなっています。

 

 

週刊文春の記事によると、MIKIKO案を進めている間は、任天堂から宮本茂氏が競技紹介の監修をしていました。

宮本茂氏は、2019年にゲーム業界で初めて「文化功労者」に選ばれた人物です。

競技紹介の演出には、任天堂らしくマリオなどキャラクターCGによる演出を計画していたようです。

競技紹介は任天堂の宮本茂代表取締役が監修し、スーパーマリオやインベーダーゲームのキャラクターのCGが盛り上げていく。

https://bunshun.jp/denshiban/articles/b1436

各国選手の入場行進で流れる曲も「ゼルダの伝説」や「ポケットモンスター」といった任天堂作品の曲が予定されていました。

かたや花形の一つ、入場行進では「ドラゴンクエスト」など、世界的に有名なゲームの楽曲が19曲流れた。だが、6月16日付の〈MUSIC LIST〉の選手入場の項目を見ると、本番で流れなかった5曲の曲名が記されている。「ゼルダの伝説」のメインテーマや「スーパーマリオブラザーズ」のスーパーマリオ組曲、「ポケットモンスター」のオープニング……共通点はただ1つ、「任天堂ソング」ということだ。

https://bunshun.jp/denshiban/articles/b1436

しかし、MIKIKO氏から実験が離れると、競技紹介の演出は変えられてしまい、最終的には任天堂の曲もすべて外されてしまいました。

「MIKIKOチームでは競技紹介を任天堂に監修してもらいましたが、代表取締役の宮本氏は自ら本社のある京都から毎週のように上京し、会議を重ねていました。しかし佐々木氏に実権が移った後、彼は競技紹介をあっさりピクトグラムに変えた。そのことには、任天堂側も複雑な思いがあるのでしょう。結局、本番直前で任天堂の曲は全て外されました」(別の電通関係者。任天堂は「当社は回答する立場にございません」)

https://bunshun.jp/denshiban/articles/b1436

この記事が公開されると、これまでの予想はかき消され、瞬く間に大会組織委員会へ矛先が向きました。

 

 

 

非常に信憑性がある内容で、真実であればひどい話です。

ただ、記事構成としては、匿名のタレこみと流出資料を中心に構成しており、MIKIKO氏や任天堂は沈黙を保っています。

週刊文春も確信をもって公開に踏み切っていると考えますが、外部からは真実であるか検証することが難しい情報といえるでしょう。

まとめ

つまり、まとめるとこうです。

  • JASRACの管理楽曲ではないから⇒デマ
  • 日本eスポーツ連合(JeSU)に加入していないから⇒根拠が乏しいので、おそらくデマ
  • MIKIKO案とともにオリンピックと決別した⇒検証できないが、真実に近い情報

なぜ任天堂の曲が選ばれなかったのか、一つ一つ検証をすることで、信憑性の高い情報に近づくことができました。

任天堂の演出がなかったことは、任天堂作品のゲーム音楽を期待した人々、安倍マリオの続編を待ち望んだ世界の人々に、深い悲しみと失望感をあたえました。

オリンピックの主役である選手たちを、世界各国の人々が心から応援したくなる。そんな最高の入場曲で「おもてなし」の演出を開会式で見たかったものですね。

この記事を書いたライター

ナガヤン

著者プロフィール

こんにちは、SEライターのナガヤンです!
サーチバンクをご覧いただき、ありがとうございます。

サーチバンクでは、エンジニア中心のメンバーで、私たちだからこそできる、べんりで楽しくなる情報を発信していきます!

これからの働き方を考えるメディア「JobTier」にて、対談記事を書いていただきました!

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