こちらの! Slack 芸人ライターのナガヤンです。
今回は Slack の times 文化について解説します!
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times とは、メンバー個人のチャンネルを作り、「今日やること」「いま困っていること」「ネコの話」など話題を制限せず、その時々に考えていることを発言する Twitter のような使い方です。
times 文化は、次のブログ記事の登場がきっかけで、当時 Slack を導入していた IT 企業を中心に流行りはじめました。
該当記事では「分報」としていますが、これは伝わりやすいキャッチコピーで、記事中でも「毎分書き込む義務は課していない」としています。
そのため、集団によって「分報」「times」「timeline」など、様々な呼び方をされています。
本記事中ではより本質的な意味合いを受け取ってほしいので、「times」および「times 文化」とします。
times を導入すると次のようなメリットが期待されます。
メンバー個人がチャンネルのオーナーとなるので、個室のような安心感を持ちやすくなります。
発言に該当するチャンネルがなかったり、そのチャンネルにふさわしい発言であるか自信がないと、それは心理的なハードルとなり発言を取りやめることもあるでしょう。
times であれば、メンバー個人のメモ帳・つぶやきとなるので、そういった心配は不要です。読む側にとっても、「●●さんは、先日休んでたから知らないのかもしれない」など発言者の立場・レベルで発言されるという前提があるので、それを踏まえて見ることができます。
心理的に緊張状態にあると、怒られたり貶されるんじゃないかと不安になり、悪い報告は出しづらくなります。とはいえ、実際にはそういうときこそヘルプを出すべきで、より悪化する悪循環に囚われがちです。
その点、times は個人の自由な発言が許容されることもあって、「2時間くらい調べても●●が全然わからない」などの不安や課題を書きやすく、仲間がフォローできる環境を作り出せます。
また、他の人が知っているかわからない内容であっても、自分の times になら書きやすく、親切なメンバーがアドバイスしてくれることでしょう。
意外と侮れないのが会話が非同期な点です。
チャンネルやDMとは異なり発言先、つまり発言の対象がいないので、返事を待つ必要がありません。
それゆえ、いつでも時間を問わないスピード感ある発言がしやすく、周囲のメンバーも返信を強いられることなく参加できます。
導入の成果としてわかりやすいのが、知見の共有が活発化することです。
いままで暗黙知として、特定の人だけが知っていたことも times に共有されやすくなります。
いつも怖い顔をしていて敬遠していた上司も、実はネコが大好きだと知る機会があるかもしれません。
一方で times の弱点はあるのでしょうか?
実は次のような点が、 times 文化の弱点と言われています。導入するときはこれらのリスクを把握しておくとよいでしょう。
times チャンネルは public で作成するのが原則ですが、一方でメンバー個人の所有物という扱いになります。
それゆえ、心理的安全性を確保できたのですが、同時に閉じた世界になりがちです。times で解決できたと思っていたが実は穴だらけで、全体チャンネルで聞いたらもっと深い答えを持っている人がいた。なんて笑い話も聞いたことがあります。
なかには同僚や上司の不満を言う内弁慶が出てくるかもしれません。ある意味でその人の人となりが出てくるのですが、あまり良いものではありませんね。
times が軌道に乗ってくると、times でほとんどのことが解決できるように思えてきます。
そこから times にやりとりを集約しようと、周囲に times に参加を要求する times ハラスメントおじさんが現れます。しかし、基本に立ち返ってほしいのですが、times はメンバーに強要するものではありません。
一般には、文字によるコミュニケーションには限界があります。メールと同様にジェスチャーや表情が伝えられないぶん、個々の文章力に強く依存します。万能だと思っていたのは、times チャンネル参加メンバーの教養があったおかげだったなんてことも。ときには times や Slack から離れて対面で話すことも選択肢にもっておきましょう。
少人数のうちは良いのですが、人数が50人、100人と多くなると全てを網羅することは困難になります。それゆえ、上に指摘した井戸橋会議が多発し、情報の共有が期待できず分断が進みます。
小説などでも、登場人物が10人、20人もいると全体像がぼやけてきます。
ただし、部署もビルも異なる人と仲良くなった話などもあるので、スタンス次第ですね。
times のはじめ方は実に簡単で、次の3ステップです。
times ではじまるチャンネルをワークスペースのメンバー分作成します(例:times-サーチバンク)。
作成したら、全体に共有して各々に参加を促します。
times にはメンバーの所有物となるので、何を書いてもいいというルールを周知します。
ルールはチャンネルの説明に書くことをおすすめします。そうすることで、あとから参加した人にもわかりやすくなります。
いくらあなたが良いものだと思っていても、使い方がわからない人にとっては、自由と言われて砂漠の真ん中に投げされたような気持ちになるでしょう。
そのため、まずはあなた自身が書くことで見本となり、こういうことを書いてもいいんだという心理的ハードルを下げてあげるとよいです。
はたまた、メンバーの times に困っていることがないか聞きに行くのもよいでしょう。ただし、目的は安心感を与えることなので、プレッシャーにはならないよう注意しましょう。
情報共有は発言者の存在がいて初めて成り立つので、発信者の心理的ハードルを下げることは永遠の課題です。
times も完璧ではないですが、偶発的なきっかけが生じるのは、目的があるチャンネルにはない面白さです。
なにより、制約がゆるいというのは自由度も高く楽しいので、興味がわいたら取り入れてみてはいかがでしょうか。
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