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— けーいち@エンジニア×メンター×ライター (@k1_searchbank)June 26, 2021
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TwitterやFacebookなどのSNSを使用している人や、ラジオを聴いている人であれば
「ハッシュタグ」という言葉は頻繁に見聞きするかと思います。
ハッシュタグとは簡単に説明するとキーワードにハッシュ(#)をつけたもののことを指します。
ただ、ここまで聞くと日本人であれば多くの人が疑問に感じることがあるかと思います。
「#←これってシャープのことだよね?」
と。
ですよね?
自分はそう思ってました。
多くの人が「#」という記号を見て思いつくのは電話のダイヤルナンバーの右下にある「シャープボタン」だと思います。
こんなに広く使われている呼ばれ方があるのに、なぜSNSではあえて「ハッシュタグ」という呼び方をしているのでしょうか。
その答えは、実はそもそも「#」をシャープと呼ぶことが誤りだからなんです。
このページの目次
「ハッシュ」と「シャープ」についての関係性を語る前にまずは「そもそもハッシュタグとは何なのか?」について軽く触れておきます。
ハッシュタグというのは自分のSNS上で投稿したコメントをカテゴライズするために特定のキーワードに「#」という記号をつけて
「#〇〇〇(キーワード)」のようにコメント内に入力したもののことをいいます。
このカテゴライズのことを「タグ付け」と呼んだりもします。
「#」←この記号はハッシュと呼ばれたり、この記号自体のことをハッシュタグと呼ぶ人もいます。
ハッシュには英語で「寄せ集め」という意味があります。
例えば、自分がリンゴについてのコメントをSNSで投稿しようとしているときに、
そのコメントを「リンゴについての話題を探しているユーザー」が探しやすくするためにコメント内に「#リンゴ」と入力しておきます。
そうすることでユーザーは検索窓で「#リンゴ」と入力してコメントの検索をした時にリンゴについて投稿されたコメントの一覧を見ることができるようになります。
下のTwitterの投稿の青色に変化した文字の部分が実際にハッシュタグを使用してラベル化されたキーワードです。
哀愁漂う背中だなぁ#哀愁 #アマガエルpic.twitter.com/pjxmyPCVl4
— SearchBank(sekizo→) (@100Sekizo)July 28, 2020
ちなみにタグ付けがされていないとコメントの検索ができないのかというと、そういうわけではありません。
例えば、検索窓に「#」を付けずに「リンゴ」とだけ入力してもリンゴというキーワードが含まれるコメントは検索することができます。
ですが、この検索の方法だと関連性の低い検索結果までが表示されてしまうようになってしまいます。
例えば、ラジオ番組へのコメント投稿や、トレンド入りしているキーワードに関する投稿など特定のキーワードを探したいユーザーが明確になっている場合にハッシュタグを利用する必要性は高くなります。
ハッシュタグの普及はTwitterからはじまり現在ではFacebook、Instagram、Google+、Flickr、YouTube、VK、Pinterestなど多くのSNSサービスで当然のように使われるようになっています。
ハッシュタグにはハッシュ(#)という記号を使うと散々お伝えしてきましたが、
世界的にもっと広く使われている「#」の呼ばれ方はナンバーサインです。
ナンバーサインの用途は多岐にわたりますが、
「#3(ナンバースリー)」
など数字の前に置いて番号を意味する使われ方が最も一般的です。
その他にも重さを表すパウンド(lb)の替りに用いられたり、
コンピューターの分野でも古くから様々な使われ方がされておりプログラミング言語では「コメント」を表す記号としても使われています。
「#」はその他にも「ハッシュマーク、パウンド、スクエア 、井げた、番号記号」など国や地域によって様々な呼ばれ方をしています。
シャープ(♯)は「嬰記号(えいきごう)」とも呼ばれ、
音楽で使用される譜面上の指定した音符の音を半音上げることを意味する記号です。
シャープにはナンバーサインのような番号を表す意味などはなく、「音楽で使う記号である」ということ以外の意味はありません。
つまり、これがどういうことなのかというと…
おそらく「#」のことを一般的に「シャープ」と呼んでいる国は、実は日本くらいしかないということなのです。
びっくりですよね、、
では、なぜ日本では「#」のことをシャープと呼ぶようになってしまったのでしょうか?
日本でハッシュ(ナンバーサイン)とシャープの意味が混同している理由として、ふたつの記号の形が大きく関係してきます。
ナンバーサインは、水平で平行なヨコ線の2本、「/」のように右に傾いた平行なタテ線の2本とを、それぞれが重なるように書きます。
ナンバーサイン →#
シャープは「/」のように右上に伸びていく平行なヨコ線の2本、地面と直角で平行なタテ線の2本とを、それぞれが重なるように書きます。
シャープ →♯
ふたつを並べてみるとこんな感じ
ナンバーサイン#シャープ♯
ふたつの記号の形の違いは、
ナンバーサインはタテ線が傾いていて、シャープはヨコ線が傾いている
ということです。
つまり、ハッシュタグとシャープは意味が違う以前に、
似ているだけで形もまったく別のものだということになります。
日本人が「#」を見て呼び方が「シャープ」だと認識してしまうようになったのは
電話機の「#ボタン」の形がシャープに似ているからという理由で「シャープボタン」として使われるようになったからといわれています。
ではなぜ日本人は勝手に「#ボタン」のことを「シャープボタン」と呼ぶようにしようと決めたのでしょうか?
「該当する番号を押して最後にシャープを押してください」
こういった電話の音声ガイダンスは耳にしたことがある人は多いかと思います。
実は「シャープボタン」というのはこの音声ガイダンスを導入するために新しく追加されたボタンでした。
ときは遡ること1960年代、今でも一般的に使われているプッシュダイヤル式の電話機が発明され、
世界の電話機はジーコジーコと回すゼンマイ式のものからプッシュダイヤル式のものへと移り変わっていきました。
そしてこのプッシュダイヤル式の電話が発明された時に「音声ガイダンスによるキー操作もできるようにしよう」ということで
従来の「0~9」までの番号しかないダイヤルに加えて、新たに「シャープ(#)」と「トーン(*)」を追加することになります。
※ちなみに「トーン」は英語圏ではアスタリスクもしくはスターと呼ばれています。
そして、ここからが問題。
いろいろと諸説はあるのですが、
実は、プッシュダイヤル式の電話機が発明された当初は、
シャープボタンには正式な名称というものがなく、マニュアルにもボタン名の記載というものがなかったらしいのです。
そのため、名前のついていない「#」のボタンに各国ごとに名前を決めて呼ぶ必要があったというワケなんですね。
なので、アメリカではシャープボタンのことが「パウンド」と呼ばれるし、イギリスでは「ハッシュ」と、それぞれ別の名前で呼ばれています。
そして日本ではシャープと形が似ているから「シャープ」と呼ばれるようになった。
という理由があるそうです。
その後、開発者によって「octotherp(オクトサープ)」という名称で正式に発表されましたが
あまりピンとこなかったのか浸透はしていかなかったようです。
今回はハッシュタグに使用されているハッシュがなぜ「ハッシュ」なのか、ハッシュとシャープは何が違うのか、
そしてハッシュをなぜ日本人はシャープと呼んでしまうのか、といった一連の話をまとめて解説させていただきました。
どうですか?
なんだか少しスッキリした気がしませんか?
ハッシュ(ナンバーサイン)のことをシャープと呼んでしまうことは、日本の中だけでやりとりをしているのであればそれほど気にすることでもないのかなと思います。
むしろ電話の話をする時のみならず「#」という記号を相手に伝える時に伝えやすさを重視するのであれば、
あえてハッシュと言わずにシャープと言ったほうがスムーズに相手に伝わる場合も往々にあるかと思います。
しかし、ハッシュタグという言葉が世界的に広まっている以上間違った解釈のままでいるとどこかのタイミングで語弊を招いたり、恥をかいてしまうことになりかねません。
きっといまだに両方の意味を混在させてしまっている人はたくさんいると思います。
そんな時は是非今回の話を思い出して教えてあげてください。
普段は野外イベントの設営など行っています。
出来るだけ読者の方の視点に立った執筆を心がけていきます!
物静かな性格なため時折南の島に佇む某石像と勘違いされることもあるとか、ないとか。
Twitter:@100Sekizo