【やめとけ】フリーランスのメリットに飛びつくと痛い目に遭うワケ

記事更新日: 2021/11/10

ライター: けーいち

近年、企業で務めるよりも「自由な働き方」を求めフリーランスになって個人で仕事を受け持つというスタイルが広まりつつあります。

その風潮を受け、エンジニア業界でも例に漏れずフリーランスに強い関心を持つ人は後を経ちません。

 

私がメンターとして務めるプログラミングスクールでも「フリーランスになって自由に仕事したいです!どうしたらいいですか?

と目を輝かせて相談を持ちかけてくる生徒さんが多くいらっしゃいます。

ですが、そういった方々から理由を聞いていくと、だいたいいつも感じてしまうことがあるんです。

 

 

みんなちょっと考えが浅くないか?

 

 

と。。。

 

世間一般的なイメージであったり、生徒さんからの話を聞くかぎりですと、

以下の点がフリーランスエンジニアに対する魅力・メリットとして挙がってくることが多い印象があります。

 
  • 働く機会が増える

  • 時間に縛られずに働くことができる

  • 年齢に関係なく働くことができる

  • 人間関係のストレスが軽減できる

  • 収入アップが見込める

 

これだけ聞くと、たしかに魅力を感じてしまうのも無理はないかもしれません。

ですが、以上のメリットに目が眩んでフリーランスエンジニアを闇雲に目指そうとしている方にお伝えしたい。

 

マジでおすすめできないからやめとけと。

 

というのも、先述のメリットというのは必ずしも誰もが受け取ることができる恩恵ではないんです。

特にプログラミングスクールに通った程度のスキルで成り立つような事業形態ではありません。

 

生徒の方々にも「実際はそんなにうまいこといかないことの方が多いよ」「思っているほど楽ではないよ」という話を具体的に説明すると、

「あ、、そうなんですね、、」と引き下がっていかれることが多いです。

 

なので今回は「一般的にフリーランスのメリットとしてイメージされやすいもの」に対して、自分なりの見解をお伝えできればと思います。

 

この記事のライター
エンジニア歴13年の現役フルスタックエンジニア
SES開発3年→フリーランス2年半→自社開発5年半→フリーランス2年を経て今年から法人化
現在の主な業務:SES開発、自社開発、プログラミングスクールメンター

働く機会が増える

フリーランスになって働く機会を「増やす」「減らす」というのは確かに自分の裁量でできないこともありません。

たしかにクラウドソーシングやフリーランスエージェントなど「フリーランスが仕事を探しやすい環境」というものが以前よりも整備されつつあるように感じます。

しかし、受注できる案件の数というのは契約形態などによって大きく左右されるものなので、一概に「機会が増えるか?」と言われるとそうでもありません。

 

特にここで注意しなければいけないことは、

受注者と発注者の間で「フェアなトレード」が行われている案件であるか?

ということです。

 

発注側と受注側が直でやりとりを行うクラウドソーシングなどでは「発注側の言い値」によって報酬額が決まります。

したがって間にエージェントが介入していない分、仲介料などが発生しないというメリットがあります。

 

しかし、発注する側が案件の価格相場をしっかり把握できていなかった場合、依頼内容に見合わないような低単価で募集がかけられてしまうといったデメリットも同時に生じてきます。

ちなみにこういった低単価の案件、かなり多いです。

 

通常、相場よりも安いと判断された案件であれば拾わずにスルーすれば問題のないことなのですが、

これが受注側も価格の相場を理解していなかった場合、価格が不相応であったとしても発注依頼が通ってしまいます。

これもよくある話。

 

特に駆け出しの頃は思ったように案件を獲得することができないはずなので「いくらでもいいからとにかく案件が欲しい」という心理から、正しい見定めができない状態になっている可能性は極めて高いといえるでしょう。

 

こういった事象が頻繁に起こることでクラウドソーシング系で募集されている案件は価格破壊がおきやすいうえに、そんな低単価な案件ですら取り合い合戦になるためまともな仕事になりにくい傾向にあります。

 

時間に縛られずに働くことができる

「フリーランスだから100%時間に縛られないのか?」というと実はそうでもなく、

契約の形態によっては「ちゃんとこの時間に来て下さい」と時間に制約が設けられるケースも多く存在したりします。

 

特にSESの契約では「労働時間についての取り決め」が入ることがほぼ確定しているので、現場次第ではあるものの自由に勤務時間を調整できる環境というのは印象としては少ないように思います。

 

また、ここで知っておいてほしいことは労働形態によっては正社員でも時間に縛られない働き方はあるということです。

たとえば、以下のような労働形態をとっている企業などがそれにあたります。

 

フレックスタイム制

ちゃんとした大きい会社であったり、メガベンチャーなどでは「完全フレックス制」というものが導入している場合もあります。

具体的には、1日の中に「コアタイム」という時間が定められており、「8時間の勤務時間の内、コアタイムを含めるように働いていれば、出退勤の時刻はいつでもOKですよ」といった柔軟な雇用形態です。

 

裁量労働制

 通常、8時間は労力として必要であろう業務を、仮に5時間でこなすことができた場合に「自分の業務は完了したので」と言って帰ることができてしまう契約形態です。

会社によっては「1ヶ月通してちゃんと帳尻が合っていればOK」といった場所もあります。

 

年齢に関係なく働くことができる

フリーランスエンジニアとして仕事をしていくうえで必ず必要となってくるのが「技術力」と「コミュニケーション能力」の両方の力です。

そして、そのうちの「技術力」は「年齢」と大きな相反関係にあります。

 

エンジニアは常に新しい技術を追わなければならない職業です。

しかし、一般的に年齢は重ねれば重ねるほど技術の習得速度を低下させ、学習・業務などの効率や要領も悪くなっていきます。

以上のことを考慮すると、年齢が上がるほど成果に対する期待値は下がり、必然的に仕事を獲得しづらくなってくる可能性が高まると言えるでしょう。

 

例えばですが、

コンビニのアルバイトの面接に「10〜20代の人」と「50代の人」が来たとして、(年齢を除いたあらゆるスペックが同じだったとしたら)あなたはどちらを採用したいと思うでしょうか?

これがさらに、どちらもレジ打ちや販売などの仕事をした経験がなかったのだったとしたら?

 

雇う側としては飲み込みの早そうな「10〜20代の人」をとりたいと思う人の方が多いのではないでしょうか。

 

もうひとつ例をあげるなら、

今までパン屋を10年やってたんですけど今年からWebエンジニアになりました

という人がいたとします。

事前にわかっている情報はこれしかありません。

 

あなたはその人に発注したいと思うでしょうか?

 

たいていの人は、「全くの異業種から転職したばかり」と聞くと少し不安を覚えるはずです。

 

ただし、例外的に
今までパン屋やってきて、こういうところが不便に感じたから、そういう問題を解決するためにWebエンジニアになりました
といった理由付けがあり、然るべき現場に営業をかける。
といったことであれば印象は変わるでしょうし、受注できる可能性もいくらか上がるかもしれないですね。

 

人間関係のストレスが軽減できる

正直これが一番理解できないメリットだと個人的には感じています。

まず、フリーランスエンジニアとして仕事を獲得するためには人間関係がなによりも大事です

先程もお伝えした通り、フリーランスエンジニアにおいてコミュニケーション能力が高いことは大前提です。

 

例えば、フリーランスになると身の回りのことは全て自分でする必要があります。

 

フリーランスにおける業務フロー
  • 仕事が獲得できるようにセルフマーケティング・ブランディングをする
  • 営業活動を行い、案件を獲得する
  • 案件を転がしていく際にお客さんと折衝して仕様を詰める
  • 開発する
  • 調整する
  • 納品

 

この一連の流れのなかでコミュニケーションが一切関わってこないところって、どこかにありましたかね?笑

 

さらに、開発も1人で行える時ならまだ良いかもしれません。

ですが、複数人で開発する現場や案件だった場合は円滑に業務を進めていくうえで常にコミュニケーションを取り合う必要があります。

 

発注元としては、

受注者の人となりがわかること、すなわち「あ、こういうところを気にかけてくれる人なんだな」といった安心感を得てこそ発注をするわけで。

それが仮に、人とのコミュニケーションが上手くとれない「何を考えているのかよくわからない」ような人で、

さらに唐突に「対人関係でストレスを感じてます」と言ってくるような人だった場合、はたしてその人に案件を任せたいと思う人は現れるでしょうか。

 

正直、人間関係にストレスを感じるような人はフリーランスには向いていないと思います。

そもそも人間関係にストレスを感じることがないような人はおそらくこんなところをメリットとは思わないです。

 

嘘のようで本当の話

コミュニケーション能力に自信がなくて「人間関係が減らせるから」といった動機でエンジニアを志望される方を度々見かけることがあります。
確かに、エンジニア業界ではコミュ力の高い人材というのは、現場目線でも他の業界より希少な印象です。
しかし皮肉なことに良い現場に携わった時ほど、全体のコミュ力の基準値が高いと感じることが多くなります。
レベルの高い技術力を持ったエンジニアさんに限ってコミュ力も高いと感じることも感覚としては結構多いです。

 

これがもともとコミュニケーション能力の高い人で「正社員時代の人間関係のストレスで悩まされていた」人だったのであれば、

たしかにメリットと捉えられないこともありません。

例えば、「現場で嫌いな人間がいた」とか、もしくは「上司の頭が固くて話が全く通じなかった」とか「パワハラ」とか。

 

ですが、もはやそのレベルになってくるとフリーランス云々の前にさっさと労基へ相談に行って転職を考えるといった方法でもいい気がします。

 

収入アップが見込める

これは大前提として、働くか、働かないかで決まってくるものなので、当然ながらサボってたらまずお金にはなりません

前述のように、 労働時間の制約がついてまわる契約形態も一般的であるため「働く時間を増やす」としても限度はあります

 

また、よく見落としがちになる点としてはフリーランスには正社員のような予期せぬトラブルに見舞われた時のセーフティーネットが予め備わっているわけではないということです。

 

フリーランスになれば社会保障はもちろん自分で支払いをしなければならないし、万が一に備えた積立も必要になってきます。

そういった部分の出費が増加してくるはずなので、これらの税金や保険料などを収入から差し引いた時にほんとうに満足のいく収益が得られているかを見極めることが大事になってきます。

 

そしてこういった手続きは基本的に面倒です。

もちろん自分の代わりに手続きや管理を依頼することもできますが、その分費用は余計にかかります。

 

税金5万返ってきた〜」と喜んでいても

でも税理士さんに年間15万払ってるんです〜」なんてことをしていたら本末転倒ですからね。

 

ただし、フリーランスをやっていて経理上のメリットがまったくないというわけでもありません。

例えば、可処分所得などは増やすことが可能になります。

 

収入としての数字が上がらなかったとしても、「経費に記入できる部分」というのは増えていくので、

家賃であったり、使い方によっては車など、あとはパソコンなんかはモロに対象になるでしょう。

お仕事用なんです〜」といって良いモノを買って経費にまわすといったことはある程度可能になります。

 

おわりに

一般にいわれている「フリーランスエンジニアになることのメリット」は誰にでも当てはまるものではありません。

フリーランスエンジニアになる適性のある人だけがこれらの恩恵を受けられるものだという認識を是非もっておいて欲しいと思います。

まずは、いきなりフリーランスを目指すのではなく「自分にはその適性があるのか」をしっかり判断したうえでどのようにしたら効率良く目指すことができるのかを検討してみてください。

この記事を書いたライター

けーいち

著者プロフィール

こんにちは、「けーいち」です!

普段はエンジニアとして、システムの設計や開発を行っています。

エンジニアをやっているからこその「質の高い情報発信」を目指してがんばります!

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