Clubhouseはもうオワコン?元BeboSEOの予測が話題に!

記事更新日: 2021/03/22

ライター: ナガヤン

2021年2月に日本で熱狂的な盛り上がりを見せた「Clubhouse(クラブハウス)」。

3月になる頃には、ブームも落ち着いてきて、「Clubhouse離れ」という言葉が早くも登場しました。

そんな空気のなか Clubhouse について、元BeboSEO(現Twitchディレクター)のShaan Puri氏の未来予想がTwitterに投稿されました。

 

みんなClubhouseが"Next Big Thing"だと思ってるようだね。でも、僕は失敗すると思っている。

どのようにして失敗していくと考えているかは、次の通りだ。

この書き出しで始まる一連のTweetは、同じ音声メディアのディレクターであるPuri氏らしく、非常に示唆に富んでいるとシリコンバレーで話題になりました。

Puri氏が予想するClubhouse失墜のシナリオとはいったいどんな内容なのでしょうか?

 

Clubhouse はこうして失敗していく(Puri氏の予想)

(本節はPuri氏のツイートの翻訳を記載しています)

免責:僕はClubhouseの失敗を望んでいない

免責 - 僕はClubhouseが失敗することを望んではいない。Clubhouseが勝利すれば、世界はもっと楽しくなるだろう…

だけど、望んでいるからといって、それが実現するとは限らない。もしそんな世界であったなら、グァカ(アボカドソース)はデフォルトですべてのチップスの袋に含まれていただろうね。

序章:君はいま、輝かしい栄光を手にした!

さて、君が Clubhouse の SEO だったとしよう。

まず最初に ― やったな!ついにやってやったな!

人々は君のアプリを気に入っている。いや、そうじゃない ― 人々は君のアプリを心から愛している。

 

なんてこった!@sacca(Chris Sacca, Lowercase Capital創業者)がDMを送ってきた。「おめでとう、Clubhouseは最高だよ」

@naval(Naval Ravikant, AngelList創業者)が君の最新のツイート3つにいいねした。

さらに@rabois(Keith Rabois, PayPalマフィア) が、このアプリは「ゴミではない」と言っているらしい。 

ウォーー11!!!

 

毎日のように新たな有名人が使い始めている。

マイナーなテック界隈の有名人に始まり、テック界隈を超えてNBAプレイヤーにDeadMau5(カナダのミュージシャン)。Neil Degrasse Tyson(アメリカの天体物理学者)がパスワードをリセットできるか問い合わせてきた。

 

さらに続けて、Logan Paul(アメリカのYouTuber)にBeeple(アメリカのデジタルアーティスト)までも。

Gary V(Gary Vaynerchuk, アメリカのシリアル起業家)は、声を届けるための新しい場所が作られたと考え、すぐにクラブハウス内でルームを作り、「本当にお金を稼ぎたいなら、両親のもとに戻り、親の家具をCraigslist(アメリカの情報交換サイト)で売るように」と24歳の若者たちに教えた。

成功者として:さらなる絶頂へ

勝ちまくりだぜ!

A16Z(Andreessen Horowitz, アメリカの著名なベンチャーキャピタル)がタームシート(投資契約書)をくれた。バリュエーション(企業価値評価)にはカンマが3つある。ユニコーンになったのだ。君は契約書にサインすることに決める。

サインしながら、A16ZはAndre Iguodala(NBA選手)とフェイスタイムしている。理由はよく分かってないけど、とりあえず彼に挨拶する。

 

全てのニュースメディアから電話がくる。

Forbes(アメリカの経済誌)が君を「未来のビリオネア」リストに載せる。TechCrunch(テクノロジーメディア)が「未来は音声だ」と宣言する。

Stephen Colbert(コメディアン)が、番組のオープニングでClubhouseについて触れる。彼はClubhouseをいじっている、でも彼が僕らの名前を知っているぜ!!

Emily Chang(ジャーナリスト)がBloombergに呼んでくれる。ビジョナリーなグレーのVネックを着ていく。

服装はシンプルに、でも話すことは派手だ。

これは単なるチャットアプリじゃない。これは「セレンディピティ・ネットワーク(偶然による発見があるネットワーク)」だ。「オーディトリィ・エスケーピズム(聴覚の現実逃避)」なんだ。

 

彼女はあなたがアイデアをどのように思いついたか聞いてくる…

なにを馬鹿な、Emily。「あなたのアイデア」じゃなくて「私たちのアイデア」だろ?

人間は太古の昔から会話してきた。声はトーンや質感があるから力強いんだ、と彼女に言う。

キャンプファイアを囲んで話すのは人間が洞窟に住んでた時からだ。

 

Emilyは未来について知りたい。噂は本当なのか?クラブハウスにビデオも追加するのか?

君はドラマチックに、少し間を置いてから、

... 「ビデオはバグだ。機能じゃあない」

フゥー!最高にキマったね!

不穏な兆し:思うように伸びていないぞ

一連のメディアツアーの後 ― 君は戻って仕事したくてウズウズしている。君はみんなに「仕事に専念する」と言う。

みんなも賛成する。それは賢い行動だと。

そうして、デスクに戻ってダッシュボードを確認する。

うーん…推移のグラフは想定していたような「右方向に上昇している」形に伸びてない。

 

1日あたりのアクティブユーザー(DAU)が数ヶ月前の時ほど伸びていない。うーん…アプリのダウンロードも遅くなっている。

グラフがバグってるんじゃないかと、ダッシュボードを更新してみる。

(でもやっぱりバグじゃないようだ。)

現状認識:ユースケースを分析してみよう

より深く分析してみる。ユーザーの定着率(リテンション)が低下している。最悪というほどじゃないけど…新しいユーザーは初期のユーザーの時ほど残ってくれていない。

コアメンバーを呼びチームミーティングを開く。

 

チームでグラフを見る。彼らは少しだけ心配になったけど、でもまだ良い気持ちでいる。

「ユーザーと会話した方が良さそうですね。」

そうした結果、クラブハウスには2つの全く異なるユースケースがあることに気づく。

  • コンテンツ(Content)
  • 緩いおしゃべり (Chillin)

対応策1:コンテンツに注力しよう

コンテンツは番組、パネルディスカッション、炉辺談話(Fireside Chats, 非公式の会見)、Q&A、AMAだ。

いいね。次のYouTubeだ。

ほとんどのコンテンツが「退屈」で、ユーザーが離れてしまう点を除けば。

で…で…でも、あらゆるプラットフォームは多くのジャンクコンテンツを抱えている。クラブハウスの黄金のコンテンツにフォーカスしてみよう。

 

そうだとも、いくつかのコンテンツは黄金だ。「Good Time Show」 とか 「Shoot Your Shot- NYU Girls Roasting Tech Guys」。 

ほかにも、Elon(イーロン・マスク、アメリカの実業家)が現れて、Robinhood(アメリカのフィンテック企業)の人を問い詰めたりするマジック・モーメントもある。

そうさ、コンテンツに注力しよう。君はスケジューリング、Q&Aツール、マネタイズなどの機能を追加する。

対応策2:ユーザー体験に注力しよう

コンテンツクリエイターはハッピーだ。それでも定着率は改善しない。

なぜか?

これは、興味付け問題(The Interesting-ness Problem)の悪い例だ。

ユーザーがアプリ(インスタ、YouTube、TikTok)を開いた際に、彼らには7秒以内にジューシーなコンテンツが必要だ(でなければ直帰してしまう)。

これが「興味付け問題」だ。

 

他のアプリ(インスタ、TikTok等)では、数百万のコンテンツから選ぶことができる。アルゴリズムが、君に最適なジューシーなコンテンツを即座に届けることがめちゃくちゃ得意になってくる。

でもクラブハウスはライブなんだ。

だから、「面白くて」「かつ」「いま起きていること」が必要だ。

本質的な課題:最新のイケてるコンテンツをリーチする難しさ

君はチームに伝える。「登録したてのユーザー体験に注力してくれ」と。

エンジニアたちは分かったと言うが、君に忠告する。

「コンテンツが面白くて」かつ「ライブであること」は、難易度が2倍に上がるだけじゃない…200倍上がる、と。

 

君は反論する。「でも、Twitchはできているじゃないか!Twitchはライブコンテンツだ。だから明らかに可能だ!」

エンジニアたちは君に椅子とテイッシュ箱を用意した(君が涙をふけるように)。君はそれに座り、彼らは説明を始める…

  • Twitchのクリエイターは「週に40時間」ライブする。Clubhouseの良質なクリエイターは週次で番組を開く。最大で「週に3-4時間」だ。ゲームの方がコンテンツ制作が容易だ。
  • Twitchはバーティカル(垂直)に特化している(ゲーミングだからね)。ClubhouseはHorizontal(水平)だ。全カテゴリーで「神コンテンツ」が必要になる。
  • Clubhouseでは、会話に45分遅れると、最高のトークポイントを逃して迷子になってしまう。
    でもTwitchは、「ゲーム自体がコンテキストを持つ」。いつ配信に参加しようが、ゲームを見ればプレイヤーが何をしているか理解できる。だから「ライブ」だけど、「(参加タイミングが)シビア」ではない。

 

うーん…チームミーティングが終了。次のミーティング(Biz Dev)の時間に、アダムに「もっと良いコンテンツを見つけてきて」と伝える。

これは難しいぞ。

(良質なコンテンツである)多くの観客がいるクリエイターは、プラットフォームを変えることを望まない。Clubhouse上のライブで1時間過ごして2千人にリーチするか…あるいは、Podcastをやって20万人にリーチするか?

対応策3:録音機能をつけよう

そこで君はPodcasterに向けた「録音」機能を提案する。

Clubhouseで生配信する、それに加えて、Podcast用の録音もできる!簡単だね!

さっそく君はエンジニアたちに、録音機能を出すように言う。「asap or sooner(できるだけ早く、あるいは早く)」という注文付きで。

彼らはプライベートSlackで君を馬鹿にする。意味が成立してないから。

 

録音機能をリリースする。

悲しいことに―それは失敗した。

クリエイターは録音を気にし始めると、ランダムな観客を招待しなくなった。「ライブ」の楽しさがなくなってしまった。

リスナーも「ライブで聞く意味がどこにあるの?後からpodcastで聞けばいいよね?」と思いはじめた。

混迷する戦略:原点に立ち返ろう

緊急チームミーティングが開かれる。

「コンテンツ」戦略がうまくいかない。

原点に立ち返り、他の戦略を採る必要がある。そもそも何がClubhouseを魔法的にしたのだろうか?

意見を述べる者はいない。

部屋を見渡し、君はジョーを指差す。彼はプロダクト・マネージャーだ。

「ジョー、君はなんでクラブハウスにハマった?」

 

ジョーはアプリを使った最初の夜、マーク・アンドリーセン(ソフトウェア開発者)と、ハッシュタグを発明した人と一緒の部屋にいた。

このアプリはホンモノだ。

ジョーは新しいルームに行った、そして夜の1時まで話し続け、何人かクールな人にも出会えた。そのうちの一人はNFTで莫大なお金を儲けていた。最高だね。

 

君はドラマティックにホワイトボードを消した。平時のCEOはもう終わった。ここからは戦時中だ。

番組のことは忘れよう。あれはどちらにしろ鬱陶しかった。「専門家」と「成功するためのコーチ」が多すぎた。Clubhouseは一体何だ?ウザいやつのためのDiscordか?

違う違う。青のマーカーを取り、ホワイトボードにCHILLING(緩いおしゃべり)と書く。

 

そうだ、これこそが正しい。緩いおしゃべり(Chilling)。

Clubhouseは「ソーシャルネットワーク」だ。「パフォーマンスネットワーク」じゃない。

データも証明してる。人々は(番組を作るためよりも)ただ緩くおしゃべりするためにクラブハウスを使っている。僕らは毎日4時間くらい話している。

これで 定着率問題=解決 だ!

 

でも結局のところ、おしゃべり(Chilling)も行き詰まりだと判明する。

定着率と利用率は良いね…でも、成長率(グロース)は遅いままだ。

これは理にかなっている。Clubhouseへ友達を作るために来るのなら、いまの友達を連れてこない

つまりこうだ

  • おしゃべり:定着性があるだけど、成長性が遅い
  • コンテンツ:成長性が早いけど、定着性がない

儚い物語の終焉:買収される Clubhouse

テックバブルの中ではうまくいったのは、流行がテックの人たちを大量に呼び込み、クリティカル・マスに到達した。全てのコミュニティでこの魔法を再現することはできない。

物語の結末はそんなに面白くない。成長率が停滞し、ユーザーも離れる。そしてFacebookに9千万ドルで買収されて終わった。

 

君は「Facebook voice」のプロジェクトマネージャー(PM)として一年過ごした後に退職し、一年間、東南アジアに旅に出る。

悪くなかったでしょう。ものすごい経験ができた。十分なお金も稼げた。

君は残りのキャリアは全て、エンタープライズのSaaSに費やすと誓った。

The end.

これは Clubhouse に起こりうる1つの未来の「物語」

Clubhouse は、これまでになかった音声メディアSNSとして脚光を浴びました。

しかしながら、Puri氏の予想で指摘されているように、様々な不安要因が存在しているのはその通りです。

コメントは避けていますが、(あまり好ましくない)Clubhouseのダウンロード数の推移をPuri氏は提示しています。

 

とはいっても、一般に新しいコンテンツ(特に海外発の場合)は、多少の不安要素がある状態で初期展開されるものです(Zoomもそうでしたね)。

日本でこのまま凋落したとしても、個人や地方のラジオ局が日本と比べて多いアメリカでは、生き残れるとの見通しも出ています。

 

持っている情報で未来予想図は変わります。

Clubhouseの将来はわかりませんが、イケてる未来を創るためのプラットフォームになることを期待したいですね

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この記事を書いたライター

ナガヤン

著者プロフィール

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これからの働き方を考えるメディア「JobTier」にて、対談記事を書いていただきました!

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